“チアリーダーのチアリーダーになる”
これがわたしの4年間の目標であり、チアを続けるモチベーションでした。
この思いが自分の中に確固として生まれたのは、1年生の夏に初めて参加したトライアウトでした。
トライアウトでは、冬に出場する大会のチームを決めます。1チーム16人と枠が決まっているため、部員一人一人が少しでも難易度の高い技に挑戦して、少しでも上手く技を決めて、少しでも多くの点をもらって上のチームに入ることを目標にしていたと思います。
だからこそ、トライアウトではいつも一緒にチアをしている同期が、先輩が、後輩が、みんながライバルなのだと思っていました。
私は当時、スタンド(自分の肩の上にトップを乗せる技)に苦手意識を持っていました。トライアウト当日の朝練でも上手くできず、隣で綺麗にスタンドを作っている同期の姿を見て「ああ、どうして自分にはできないんだろう」と悔しくて情けなくてたまりませんでした。
そんな気持ちがあったため、トライアウトの審査ではガチガチに緊張しながら自分の番が来るのを待っていました。
そしてついに自分の番になった時、緊張しすぎてあまり覚えてませんが、名前を言うだけで足がガクガクしていたと思います。
そんな私の姿を見て、ペアになったトップの先輩が「大丈夫だよ」と優しく声をかけてくれました。スタンドがいつまでも上手くできない私にいつもアドバイスをくれたり、時間外にもたくさん練習に付き合ってくれたりした先輩。
先輩自身も審査される側であり、且つペアになっているベースが審査される時にはそのベースが実力を発揮できるようにサポートしなければならないというプレッシャーがかかる役目にも関わらず、こうして声をかけてくださったことが本当にありがたく、「練習してきたことを信じて絶対に成功させよう!」と背中を叩かれた気持ちになりました。
自分の番が終わり、ようやく周りが見えるようになると、そこには審査されている子を本気で応援している部員のみんなの姿がありました。
それぞれがトライアウトに向けて養った実力を最大限に発揮できるようにと応援している姿を見て「自分のことに必死になってしまいそうな状況の中で、どうしてこんなにも誰かのことを応援できるのだろう」と心を揺さぶられました。
チアは、演技を見てくれる方だけではなく、演技を作り上げる私たち自身にも前向きな気持ちを与えてくれるものなのだと気づきました。
驚いたのか、感動したのか、当時の心境は覚えていません。ですが、感情が高ぶってしまい、誰にも気づかれないようにみんなのことを応援しながら一人静かに涙を流したのをよく覚えています(笑)
このトライアウトを通して「ひたむきにチアに向き合うみんなのことを一番近いところで応援しよう。誰かにとって励みになる存在に絶対になろう」と自分の目指すチアリーダー像ができました。
初めて挑戦する技が成功した時に自分のことではなくても自分のことのように心から喜んでいる姿。
本当は身体中痛くてたまらないのに、グッと堪えてみんなの前では笑顔で振る舞っている姿。
自分のためではなく、常にEAGLESという団体とその仲間のために行動している姿。
チアが楽しくて仕方ないという思いがいっぱい詰まった演技をしている姿。
みんなの姿がどうしようもなく私の心を鷲掴みにしました。
私は自分の思いを言葉にするのが得意ではないので、みんなのことを支えたい/励ましたいと思いながらもなかなか声をかけることができませんでした。
本当は悩んでいる姿を見かけたら「大丈夫だよ」と言って少しでも力になりたかった。
話すのが上手な同期のように、誰かの背中を押す言葉をかけたかった。
でも残念ながら私にはそれができなかったので、せめて自分の行動でみんなのことを支えられるようになりたいと思いました。
この4年間「どうしていつも笑顔でいられるの?」「なんでいつもニコニコしているの?」と聞かれることが多くありましたが、これが私なりのみんなへの励ましでした。
みんなのことを励ます存在になるために「痛い、辛いと言わない。そういう姿は見せない」と決めたのに、無意識のうちに出してしまうことがありました。そんな自分の情けなさがどうしようもなく嫌でした。
また、怪我の痛みに何度も心が折れそうになったり、気持ちに反して身体が動かなかったり、存在感のある同期やチアが上手な同期に圧倒されて、EAGLESでの自分の存在意義がわからなくなって練習帰りの電車や夜道で一人でめそめそ泣いてしまうこともありました。
きっと部員のみんな一人一人に理想とするチアリーダーとしての姿があり、そこに追いつけない自分に悔しさやもどかしさを感じて辛くなってしまうことがあると思います。
しかしそんな時には、自分を支えてくれる人が絶対にそばにいるということを忘れないでほしいです。
だって、みんなの周りにいるのはチアリーダーだから。そして、みんな自身もチアリーダーだから。
みんなのことを支えてくれるチアリーダーは同期かもしれないし、先輩や後輩かもしれません。時には自分自身が、辛い時に寄り添い支えてくれるチアリーダーになっているかもしれません。
楽しい時には喜びを分かち合い、辛い時には励まし合い、悩んでいる子がいたら迷わずに手を差し伸べる。
いつもそばにいる素敵な仲間と共に、そして自分自身を大切にして、心からチアを楽しんでほしいです。
私はチアというスポーツを通して、数えきれないほど胸を打つ瞬間に出会いました。そんな素晴らしい光景を見ることができたのは、私自身がチアに夢中だったからだと思います。
過去の引退ブログにて、尊敬してやまない 大好きな先輩が「夢中であれ」とメッセージを残してくれました。本当に、夢中であることに敵うものはありません。困難すらも楽しめるくらい、どうかチアに夢中であってください。
私はいつもここぞというときに自分の納得のいく姿でいられず、悔しさともどかしさを感じてばかりでした。しかし、この悔しさがいつも私を成長させてくれました。
あと数日と目の前に迫る大会で、4年間の悔しさも楽しさも全て青マットにぶつけようと思います。
引退を迎える日、一体どんなことを思っているのか、どんな姿なのか、今の自分には全く想像ができません。笑顔かもしれないですし、感極まって泣きじゃくっているかもしれません。しかしどんな未来が待っていても、チアに魅了されて全てを捧げた4年間を誇りに思えるよう、最後まで全力で駆け抜けます。
4年間、本当にありがとうございました。
チアリーディング部4年 北澤みなみ