間があいてしまったが、
ドクハラ・セクハラを受けた続き





診察でドクハラを受けた内容を
私から聞いて激昂した主人。




私の制止もきかず
クリニックへ駆け込んで行った。




慌てて追いかける私。






もう12時を過ぎていて
患者さんは一人だけ。




主人は受付の女性に
ドクターに取り次ぐように伝えた。





受付の女性は
「もう午前の受付は終了したので
午後改めて来てください」

と言う。




その言葉は火に油だった。





主人「診察じゃありません。
家内が受けた酷い対応について
医者に直接説明を求めたい。」



「やめて、もういいってば。」



主人「よくない。」



受付の女性は慌てて奥へ行き、
暫くして看護師さんが出てきた。


「まずは私がお伺いします。
こちらでは何ですのでお部屋へどうぞ」

と通される。




主人は私から聞いたままを
伝え出した。



不妊治療や卵子提供について
言い出さないか冷や冷やした。





主人「これがもし私にだったら
そんな言い方しますか?

患者が年寄りや子供だったら
そんな説明しますか?


“子供がいないからわからなくて仕方ない”
なんて言葉は使わないでしょう。


症状の説明として
不適切だと言わざるを得ません。

これはドクハラであり
セクハラともとれるのではないですか?

本人からどういうつもりだったのか
直接話を聞かせて貰いたい!」






黙って聞いていた看護師さんは
とても親身になって下さった。




看護師「本人にそのつもりはなくても
患者様が気分を害されたのは事実ですし
私もその場におりましたが
奥様のお気持ちよくわかります。
午前最後の患者さんが終わりましたら
ドクターに伝えさせて頂きます。
このままお待ち頂けますか?」





主人「はい、待ちます」






でも私はもう十分だった。




その場にいた看護師さんも
ドクターはおかしいと感じたんだ。


私の気持ちをわかってくれただけで
何だかほっとしたし気が収まった。





「もういいよ。十分だよ。」




主人「何で?自分は気が済まないよ」



「言われた当事者が
もういいって言ってるんだから
これ以上大事にしないで。」




と言うと、
主人は渋々従ってくれた。





看護師さんに頭を下げ
部屋を出て待合室へ。





そこでふと、
さっきのお釣りが足りなかったことを
思い出した。





「あの、さっきお釣りが
500円足りなかったと思うのですが。
今日は小銭入れを忘れていて
お釣りをそのまま財布に入れたんです。
そっちには普段小銭は入れないので
頂いたお釣りだけがそのまま入ってます。
なのでお釣りが足りないなとわかって・・
ご確認頂けますか?」




受付「申し訳ありません。確認には
一旦レジを全て閉めなければなりません。
お時間かかるので、あとでお電話でも
宜しいでしょうか?」



「そうですよね、すぐはわかりませんよね。
じゃあもう結構です。また来るのも大変だし、
私の勘違いかもしれませんし。」



受付「いえいえ、いずれにしても
お電話差し上げます。」




「有り難うございます。
でも本当に結構です。
それにもう、こちらに伺いたくはないので。
すみませんこんなこと言って。
あなたのせいではないのに。
有り難うございました。」




隣にいた看護師さんにも
深々と頭を下げてクリニックを後にした。




主人「本当にこれで良かったの?」



「うん。でも有り難うね。
私の代わりに怒ってくれて
嬉しかったよ。」



主人「いや、でもさ、
君は今までの不妊治療でも
随分辛い思いをしてきたんじゃない?
今回以上に医者から酷い言動を
受けてきたんだよね?」



「うーん、そうだね、
そんなこともあったかな?
でももう忘れた。」




思いがけない主人の優しい言葉に
涙が滲む。



アラフィフは涙腺弱し。




慌てて助手席の
窓の外を向いて誤魔化した