長い猛暑も終わり
ようやく秋らしく涼しい季節になりましたね。
今年も早いもので残すところあと2カ月となり
今度は冬の寒さに戦々恐々と言ったところです…。
さて今回は
毎年の確定申告相談会に従事している際に
たまに出会うことのあるレアなケースに触れてみたいと思います。
確定申告の際に提示して頂く資料の中で
最も重要なものの一つである「源泉徴収票」を持ち合わせていない人が
毎回一人か二人ほどいるのですが、
その場合はどのように対処したらいいのでしょうか…。
ご存じの人が多いのではと思いますが
給与所得者の方が確定申告される際には
基本的に源泉徴収票がないと確定申告をすることができません。
ただし
レアなケースですが
源泉徴収票が手元にない場合でも申告ができる場合もあります。
その場合の対処法についてケース別に触れてみたいと思います。
・源泉徴収票を紛失した場合
源泉徴収票は毎年12月か翌年1月に勤務先から従業員に交付されます。
中途退職した人の場合には
退職の日以後1ヶ月以内に交付する必要があることが法定されています。
このように
会社には従業員に源泉徴収票を交付する義務があるため、
交付されないということはまずありません。
したがって、
「12月もしくは1月の給与明細の中に紛れていないか」あるいは
「退職後1ヶ月くらいまでの事業者からの郵便物などに紛れていないか」
ということでまずは探して頂くことになります。
それでもどうしても紛失してしまった可能性が高いという場合には、
事業者に再発行を依頼して頂きます。
再発行にかかる時間は事業者によって異なります。
年末調整をした会社員などの給与所得者が、
所得税の還付申告をする場合は過去5年さかのぼって申告ができます。
したがって、
還付申告を行うという場合でも源泉徴収票が手許にある、
ということが重要なポイントになります。
なお、
源泉徴収票を交付しなければならないという規定は
所得税法226条に明記されていますが回数や期間までは明記されていません。
つまり、
交付の義務はありますが、
再発行の義務に応じてくれるかどうかは会社次第ということになります…。
事業者側でもパソコンや給与計算ソフトの買い替えなど
色々な事情があるということも考慮して考えておきましょう。
したがって、
源泉徴収票はもらったらコピーしておく、
あるいはスキャンニングやバックアップファイルを残しておくなど
納税者自身で保全しておく手続きが必要かもしれません。
・源泉徴収票が交付されていない場合
前に述べたとおり、
事業者には従業員に対して源泉徴収票の発行義務があるため、
「もらっていない」ということは原則としてありません。
なので、
もし1月を過ぎても前年の源泉徴収票が交付されていないのであれば、
再発行してもらうように早めに依頼した方がよいです。
事業者に発行を断られたり先延ばしにされたりしたときは、
念のために
所得税法226条の規定に基づき発行は義務であることを
伝えてもよいかもしれません。
それでももらえないのであれば、
最終的には
所轄の税務署に
「源泉徴収票不交付の届出書」という届出を提出することになります。
この届出をすると勤務先の税務署から
その事業者に指導が入るようになっています。
・PDFの源泉徴収票しかない場合
ペーパーレス化が進む中で、
給与明細や源泉徴収票をPDFで発行する企業も増えているようです。
以前はPDFの源泉徴収票は確定申告に使えませんでしたが、
現在は源泉徴収票の記載事項がわかれば原本が必要ないため、
PDFの源泉徴収票でも特に問題ありません。
記載内容を確認してそれをもとに所得税の確定申告を行いましょう。
なお、
「PDFを添付したメールが見つからない」といったことを避けるために、
PDFのバックアップファイルを残しておくのが無難です。
・会社が倒産している場合
もし会社が倒産した場合は、
源泉徴収票の発行をしてもらえないことがあります。
倒産の時に発行してもらえていれば問題ありませんが、
そうでない場合は、
どこに連絡すればいいのかもわからない
とった事態になってしまう可能性が高いです。
このような場合も、
税務署に「源泉徴収票不交付の届出書」を提出します。
給与明細が残っていればそれを添付して提出するようします。
暫定的な措置として
「給与明細書」をもとに確定申告を受け付けてもらえる場合があります。
一方、
申告内容と相違する事実が露見すると修正申告をもとめられることもあります。
おさらいしますと
源泉徴収票を発行してもらえてない、又は紛失したり場合は
まずは
発行してもらえてない場合は発行の依頼を
紛失してしまった場合は再発行の依頼をしましょう。
それでも発行してもらえない場合は
所轄(住民票がある市町村)の税務署に
「源泉徴収票不交付の届出書」を提出します。
その際に給与明細書が手元にある場合は添付します。
提出すると、
税務署から事業者に指導が入り源泉徴収票が交付されるはずですので
発行されたら改めて確定申告を行うということになります。
会社が倒産してしまった場合は、
破産管財人に依頼できれば発行される場合もありますが、
連絡がつかないなど発行されない可能性もあります。
倒産などで事業者から発行が不可能な場合も
給与明細書などでも確定申告ができるかどうか、
税務署で相談してみるのが最善策だと思われます。
恐らく(確定申告相談会では時間をかけての対応が無理なので)
例外的に給与明細などで代替しての確定申告が可能になるのではと
思われます。
それでは今回はこの辺で。。