心の中に。第一章 | 園山一家の幸腹(福)

心の中に。第一章

みなさまにお礼をお伝えすることがなかなかできません。

よちよち赤ちゃん歩きだった7年前。
凸凹じゃり道を歩きながら、
時には立ち止まりそうになりながら。

それでも気持ち真っ直ぐ進んで参りました。



今でも思い出す、7年前のこと。

当時この一軒家にはしばらく人が住んでおらず、荒れ果てて、まるでお化け屋敷のようだったのです。

そこに人の手が入り、人が集い出すと
家は息を吹き返しました。

そんな「家」と私達は一緒に成長しあい、こんなにも皆様方に愛される場所になりました。

まるで奇跡の物語のような7年間…。

そんなこの一軒家と共に、これからの新しい歴史を築く道を私は選びました。

日々、たくさんの食材たちを扱うなかで、彼らに様々なことを教わりました。

真っ直ぐに向き合うことを忘れず。

これからも食を通じて、この国の豊かさと、食べることの楽しさをお伝えして行けたらと思っております。

「園山」はいつまでも心の中に。

長年のご愛顧、本当にありがとうございました。

料理長 時田千晴



園山の芋担当、かぐみです。

一番最初に任された、思い出の黒豆豆乳プリン。
代々受け継がれてきたポテサラを担当することになった前日、
味を守ることのプレッシャーと、これまた緊張のあまり、ぽろぽろ泣いたこと。
肉じゃがを初めて作った時、濃口醤油を薄口と間違えて、真っ青になったこと。
「はじめの一歩」を、まるで昨日のことのように思い出します。

ヨチヨチ歩きだったあの日から、気づいたら2年半。

まるで偉大な先輩のように、遠慮がちで、心の距離も遠かった園山の三大定番料理でしたが、
いつのまにか自分の子どものように愛おしい存在になり、
さあ、いっておいで!と、
自信を持って皆様に送り出せるようになりました。

食材や仕込む量など、毎日条件が変わる中、
ちょっとでも手を抜いたり、昨日はこうだったから、なんて見くびったら、
「こんなはずじゃなかった・・・」まっしぐら。
このやろう!と思いつつも、自分の至らなさを反省し、
深呼吸して、食材と向かい合い、コミュニケーションをとる日々でした。

まったく、繊細で、気まぐれな子たちです。
(芋なんて、あんなにごろごろして、土までつけて、気さくな雰囲気満点なのに!)


変わらないために、変わり続けること。

これが、定番を作り続ける中で、私が感じた哲学です。
続けることも、挑戦することも、守り抜くことも、本気でないとできないし、
その原動力のなるのは、
食べて頂くお客様への感謝と、最後はやっぱり愛情でした。

お客様へ。
食材へ。
食文化や環境へ。

振り返ると、たくさんの愛が生まれた2年半でした。

用量オーバーになるくらいの愛情を、
少しでも舌で感じて頂けていたら、本当に本当に、幸せです。

ご縁が結ばれ、出会うことができた皆様。
本当に、本当に、ありがとうございました。

これからも皆様に、口福で素敵な人生が、ずっとずっと、続きますように!

五味渕かぐみ

心の中に。第2章へ。。。