人生の縮図 | 園山一家の幸腹(福)

人生の縮図



蕗の薹に桜の葉・・・

冬の名残を感じつつも、厨房内は、もうすっかり春の香りです。


中でも、栃木っ子としてはたまらない香りがコチラ。



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そうです。


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です。




苺が入った紙袋を両手で抱えて、思いっきり息を吸い込むと、
甘酸っぱい香りが細胞の隅々まで瞬時に行き届いて、一気に幸せな気持ちに!


袋を抱えたままそわそわして、
もう一度香りを楽しんで、もう一度楽しんで、さらにもう一度・・・
(ああ、こんなことしてると仕込みが間に合わなくなる。。!)


後ろ髪ひかれる思いで煩悩を必死に抑え、苺を手放してから少しすると、
初々しかった香りにプラスして、なんだか大人なしっとりした香りが漂ってきましたよ。



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苺のソース!
春の贅沢の極みじゃないですか!




溢れんばかりのフレッシュ感の面影も残しつつも、
思わずドキッとしてしまうような大人の表情。
ベースがピュアだからこそ、出てくる色気に強さと健気さが感じられるのでしょう。



美しく変化を遂げた苺を見ていると、
なんだか胸がじんわり温かくなって、成長を見届けた母親のような気持ちになります。


そんなに綺麗になって、美味しくなって・・・
みんなに喜んでもらえるといいね。
さあ胸を張って、いってらっしゃい!

というような心境です。





食材が手をかけられて変化するように、
人も変わるし、
時代も変わるけれど、
ひらひらいろんな表情を見せる変化の穂先の根底には、
やっぱり変わらないベースがあります。


素材を知ること、愛することと、
人に対するそれとは、
やはり共通する部分がたくさんあるなぁと、
キラキラ光る苺の原石と、美しく生まれ変わった妖艶なソースを見比べながら、
改めてしみじみと思ったのでした。




料理って、人生の縮図みたいですね。




五味渕かぐみ