舩越園子オフィシャルブログ「T.G.I.S. Thanks God It's Sunny」Powered by Ameba

全米オープン第2ラウンドが進行中。
ちょっと思うことあって
大急ぎでブログを1本!

雷雨に見舞われ、中断の末、
日没サスペンデッドとなった昨日の初日。
話題の中心は、
首位に立ったフィル・ミケルソンだった。

長女アマンダが学校で
8年生の終了式(終業式?)の
代表スピーチをやることになり、
その晴れ姿(?)を見るために、
ミケルソンは
ペンシルベニアとサンディエゴの間を
トンボ返りで大陸横断・
夜行便で木曜日の早朝にメリオンに戻り、
そのまま第1ラウンドに挑み、
そして首位に浮上した。

マイホームパパの愛の物語としては
最高の話だということで
米メディアも世界のメディアも
これを美談として一斉に報道。

でもね……これは本当に美談なのか?
美談か、ちょっぴりお笑いか。
その境目は微妙だ。

いや、別に娘の学校行事を
父親が重視すること自体は素晴らしい。
でも、それだけだったら
別に美談ではなく、普通の日常の話にすぎない。

世界のメディアがこれを
美談として扱うのは
優勝を悲願と掲げる全米オープの開幕前夜に
大陸横断してまで娘のために行動する
その自己犠牲にも似た家族愛を
「美しい」とするから……なのだろう。

けれど……さらに言ってしまうと、
欧米メディアの報道の仕方は実に巧妙。
記事には、ミケルソンの肉声と事実だけを
ずらずらと並べているだけで
それを「素晴らしい」「美しい」とは
決して書かない。

読者がそう感じるなら感じておくれ。
そういうスタンスに留めていて、
その裏側では、多くの書き手が
笑っちゃっているのだ。

いかにも、フィルだよなあ……。
そこまでするんだからなあ……。

欧米メディアの本当のスタンスは、
彼らの質問の仕方を眺めていると
よくわかる。

たとえば昨日なんかは、
首位でホールアウトした選手に向かって
ホールアウト直後に
「ピーナッツバター(のバー)を食べ、
エナジードリンク飲んでたけど、
あれっていつもはやらないよね?」
なんてことを聞くのだ。

そういえば、以前、
日本のスポーツ紙にいた
下世話ネタ専門の女記者は
メジャーの会場で平気な顔して
というより真剣な顔して、
「昨日の夜、食べたオニギリは
何オニギリだったんですか?」
「お茶漬けは、何茶漬けだったんですか?」
なんて聞いていたなあ。

でも、それは
そんなネタでしか記事を書けないから
そんなことを聞いていただけのこと。

欧米記者のこのピーナッツバターは、
そんな単純で低レベルな質疑を
していたわけではないのだ。

これは明らかに誘導尋問。
いつもは飲んだり食べたりしないようなものを
口にしてまで、
ミケルソンは心身に鞭打ちながら
プレーしたという装飾をするために
こんなことを聞いていたのだ。

そして、幸か不幸か、
ミケルソンは見事なほどに
誘導にはまり込む。
「うん、自分をシャープに保つためさ。
十分なエネルギーを補給したかったんだ」

しめしめ……こうやって
ミケルソンにまつわる“美談”が出来上がり
世界に発信されていくのだ。

99年の全米オープンがその始まりだった。
妻エイミーの初産が重なりそうになっていたあのとき、
ミケルソンがポケベルをゴルフバッグに忍ばせていたこと、
「エイミーに何かあったら優勝争いをしていても
棄権して駆けつける」とコメントしたこと、
そのすべては米メディアの誘導から生まれた“美談”。

あれっ?
それじゃあ、私はどう思っているのか?
美談ではないと思っているのか?

いや、ここは欧米メディア式に
私の答えは書かず、
読んだ方々のご判断にお任せしましょう。

私が言いたいのは、これだけ。

私はそんなミケちゃんが大好き。
愛すべきミケちゃん。
憎めないミケちゃん。
そろそろ全米オープンにも勝っておくれ。

そう、私はあくまでも
応援してます、彼を。