月見ル君想フ | 林瀬那 文庫 〜あなたへの物語の世界〜

林瀬那 文庫 〜あなたへの物語の世界〜

作家の林瀬那です。

私が
描いた物語を載せてます。

本棚から本を手にするように
自由に読んで下さい。

よかったら
コメント欄に感想書いてくれると
すごく嬉しいです。

 

 

 

 

その人と

初めて逢った時

 

その人は

階段の踊り場にいました

 

 

 

 

 

真っ赤な絨毯の

階段の踊り場で

三線を

ケースに入れているところでした

 

 

 

 

 

私は

思わず

声をかけました

 

 

 

見知らぬその人に

声をかけました

 

 

 

 

なんの躊躇も

迷いもなく

 

気がついたら

声をかけていました

 

 

 

 

 

 

 

 

こんにちは

作家の林瀬那です

 

 

 

 

 

 

 

ある日

東京タワー近くの道を歩きながら

その人の夢を

聴きました

 

 

 

 

その人は

昔バンドをやっていたと

だから

またバンドをやりたいんだ

と言っていました

 

 

 

 

 

私は

音楽に縁がないので

素敵だなと思い

 

 

バンド組めるといいね

そういう人と

出逢えるといいね

 

と言いました

 

 

 

 

その人も

そんな未来を願っていました

 

 

 

 

大人になってからじゃ

なかなかうまくいかないし

 

やりたくても

バンドとなると難しいから

 

まずは

ひとりででも

音楽をやりたいと言っていました

 

 

 

 

それを聞いて

私は

どうすることもできませんでした

 

 

どうしてあげることも

できませんでした

 

 

 

 

 

でも

私は

知り合ったばかりの

この人の夢を

 

いつか

叶えたいとすら

思いました

 

 

 

 

夕暮れ時

東京タワーの近くの道を

なんだか

とぼとぼと

2人で歩きました

 

 

 

 

私は

夢を語る彼女に

気の利いた言葉ひとつ

かけられなかった

 

 

 

 

夢を語るには

私達は

あまりにも

大人になりすぎていました

 

若くもなくて

 

ある程度

人生も見えてきていて

 

もう

なんとなく

このまま終わりたくないけれど

 

もう

このまま終わっていくのかなと

軽く失望すらしていました

 

 

 

 

 

2017年

今から4年前の出来事です

 

 

 

 

 

私は

作家になりたいだなんて

恥ずかしくて

誰にも言えなかった頃で

 

自分の書いた小説を

みせたり

 

とにかくそんなこと

したくても

勇気がなくて

できなかった

 

 

 

 

 

その頃

私達は

東京タワーの近くのカフェで

逢っては

夢を語り合いました

 

 

 

 

 

叶うなんて

思っていないけれど

 

それでも

叶えたいという

心の奥の気持ちを隠さずに

語り合いました

 

 

 

 

もしかしたら

こんな私達でも

夢が叶うのかもしれない

 

そんな

なんの保証もないことを

いい歳して

信じてみました

 

 

 

 

 

 

夕暮れ時の

東京タワーを見ると

なんだか

熱い想いにかられるので

 

作家 林瀬那の

最初のインスタグラムの投稿は

東京タワーの写真にしました

 

 

 

 

 

 

あれから

4年経ちました

 

 

 

 

何も変わってないようで

なにかが変わりました

 

 

 

 

そして

その人の夢が

 

いえ

私の夢が

もうすぐ叶います

 

 

 

 

 

その人のバンドが

今年2021年11月11日に

青山でライヴを行うんです

 

 

 

 

私が

どれほど

この日を夢見ていたことか

 

 

まさか

こんな日が

来るなんて

 

 

 

もしかしたら

本人よりも

私は

この日を

待ち望んでいたのかもしれません

 

 

 

 

あの日

願った夢が

叶うんです

 

 

 

 

お逢いしたことのない

バンドのメンバーの方々にも

 

夢を叶えてくれてありがとう

心から感謝を捧げたいです

 

 

 

 

 

どうか

心のままに

あなたらしく

 

自分の心の深いところで

演奏する喜びを

楽しんで下さい

 

 

 

 

私は

上手い演奏が

聴きたいわけじゃない

 

その人の演奏が

聴きたい

 

ただ

それだけなんです

 

 

 

もっと言えば

その人が

バンド仲間と

楽しい時間を過ごしている姿を

観たいだけなんです

 

 

夢を叶えている瞬間を

観たいだけなんです

 

 

 

 

 

誰かの夢は

私の夢でもあるんですね

 

 

叶わないと思っていた4年前

 

 

そんなことが

生きていると

あるもんなんですね

 

 

 

 

 

 

これを読んで下さっている

あなたの夢も

いつの日か

叶うような気がします

 

 

ささやかな夢であっても

どうか

その想いを

絶やさないで下さい

 

 

私は

心から

あなたの夢を

叶えたいと思っているのですから

 

 

 

 

最後まで読んでくれて

ありがとう

 

あなたの大切な

人生の時間を

共有できていること

心から感謝しています

 

では

またね