↑13年前のリベンジ、(はんぶん)達成する。にゃんこは「かの人や月」のポセイドン。
 
 
うちの中学校はその昔「第2部活」というものがあった。

文化祭の直前になると、運動部の人間は強制的に期間限定の文化部員にならねばならないという、たいそうはた迷惑なしきたりである。(3年になった年に廃止)

まだ腰痛も患っていない、ぴちぴちきしゃきしゃとやかましい12歳だったわたしは、パッチワーク部に入り、針刺しと巾着をちくちく縫っていた。

針刺しは菱形のパターンを縫い合わせる簡単なものだったけれど、自分でもうれしくなるほどの仕上がりで、文化祭での展示が終わったらば、さっそく今使ってる針刺しから、まち針とかをさ、ぶすぶす移し替えようと思っていたわけよ。

が、しかし。

文化祭当日は生徒も一般のひとたちも入り乱れ、いろんなひとが出入りしていた。そして展示が終わる頃、わたしの針刺しは机の上から忽然と姿をくらましていたのだった。他にも数人の針刺しが行方不明になっていた。

もーれつに、腹が立った。なんだよと思った。
どこのだれだよ、返しとけよ。いまならまだ許してやるぞ。

取り戻そうにも容疑者の目星すらつけようがなく、また新たに作ってみようという気も起きず、あっさりと元の部活(バスケ)と給食のために学校へ通う日々に戻った。

でもあの時失われた針刺しのことを、この13年間忘れたことはない。なぜならわたしはしつこいので。

そうして年月は流れ、25になったそのしつこい娘がまた再び針をもち、菱形の布をちくちく縫いはじめた。

あっというまにできあがったのに中につめる綿を買い忘れたため、リベンジはまだ完全ではない。そんでも、胸はすっとした。

わたしは一旦気に入ったら、どっかに失くすか壊れるかするまで道具を使う。愛用どころか、酷使してずたぼろにするのが愛着とでもいうように、ものと付き合う。

これからよろしくな。長らく仲良くいたしましょうぞ、針刺し子ちゃん。
 
 
 ・そのひのことのは-006・
 
 
  「病み上がりには、ウメじゃウメ」
  「ウメをバカにする奴は、ウメに泣く」
 
 
 「かの人や月」2巻より いくえみ綾・著(集英社刊)
 
 
昨夜そのひ帳3回書き直したあと読んだら、疲れがほどけたわー。
現在楽しみにしてるまんが5本の指に入れたい作品。

これはじじばばちゃんのやりとりですが、個人的には長男・顕がすきです。ええ、わたくしファザコンですので、眼鏡に弱いんです。
 
 
もりうみけいじばん