第80回 「パルナッソス」署名の間のアポロン | レオナルド・ダ・ヴィンチの小部屋~最後の晩餐にご招待

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レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画の謎解き・解釈ブログです。
2021年5月末から再度見直して連載更新中です。

 

 

 

 

ヴァチカンの「署名の間」は「神学」「哲学」「詩学」「法学」の4つと、キリスト教と古代の神学との調和がテーマとなって天井画と壁画が構成されています。

教皇ユリウス2世の依頼をうけ、テーマに沿いつつ、誰にも判らないように、ただレオナルドにだけは判る仕掛けを込めていったという考えのもと、第71~74回にかけて「アテナイの学堂」、第76~79回で「聖体の論議」を記事にしてきました。残すのは「パルナッソス」と「枢要徳」の2枚です。

 

その前に天井画も含めた4つのテーマの作品を振り返ってみましょう。

 

 

下矢印署名の間の天井画

 

「神学」・・・聖体の論議、アダムとエバ、Theology(神学)

聖体の論議

アダムとエバ

Theology(神学)の女神

 

 

「哲学」・・・アテナイの学堂、原動力(天体の軌道)、Philosophy(哲学)

アテナイの学堂

原動力(天体の始動)

Philosophy(哲学)の女神

 

 

「詩学」・・・パルナッソス、アポロンとマルシュアス、Poetry(詩)

パルナッソス

アポロンとマルシュアス

Poetry(詩)の女神

 

 

「法学」・・・枢要徳、ソロモンの審判、Justice(正義)

枢要徳

ソロモンの審判

Justice(正義)の女神

 

 

この他、さらに小さい枠部分も気になるのですが、何が描かれているかよく判りませんので、今のとこ考慮していません。この先、何か関連がみえましたら、追記したいと思いますアセアセ

 

では、パルナッソスに入ります!

 

  パルナッソスのアポロン

 

詩学のテーマで描かれたのが「パルナッソス」

 

中央の男性がギリシア神話の芸術の神アポロンで、左右9人の女性たちは芸術・音楽・舞踏などを司る女神でムーサと呼ばれています。彼らが住むパルナッソス山から、タイトルがきています。

 

アポロンを中心に、9人のムーサ

さらにその周囲には、

古代ギリシア・ローマの9人の詩人と、ダンテ以降の9人の詩人が描かれているそうです。9という数にこだわりを感じます。詩人らの人物推定は諸説あり。

 

 

下矢印こちらは、ラファエロのパルナッソスをアレンジした版画。詩人らの人数は減っています。

 

下矢印こちらは、上段の二人がメインで、アポロンと9人のムーサは下段。

左端がアポロン。中央に9人のムーサ。右端のペガサスの隣の男はヘルメス。

※ヘルメスは、別名メルクリウス、マーキュリースとも呼ばれます。

 

下矢印年代がかなり後ですが、こちらもアポロンと9人のムーサを描いた作品。

 

 

さて、「署名の間」には、パルナッソスの他にも、アポロンが描かれています。

 

詩学に対応した天井画の「アポロンとマルシュアス」。

 

「アテナイの学堂」にも、アポロンはいます。

 

そして「パルナッソス」のアポロンに戻ると・・・何か気づきません?

 

楽器の形が違いますよね。

 

ラファエロの「パルナッソス」のアポロンが持つのは、

竪琴ではなく、

ラファエロ当時の楽器、リラ・ダ・ブラッチョ だそうです。

 

 

 

第81回に続く。次回も「パルナッソス」です。