ヴァチカンの「ラファエロの間」とは、コンスタンティヌウスの間・ヘリオドロスの間・署名の間・ボルゴの火災の間の、連なる4室の総称です。
4室の中で、最初に描いたのが「署名の間」で、
その後に「ヘリオドロスの間」
「ボルゴの火災の間」は主にラファエロの弟子が描き、
「コンスタンティヌスの間」はラファエロの死後に製作されたようです。
なんとラファエロは1520年4月6日、37歳の若さで亡くなってしまうのです
さて、この4室の中で自分が重要視しているのは、やはり最初に手掛けた「署名の間」です。他の3室の壁画からは、レオナルドを想起させるようなものはみえません。
その「署名の間」の四方の壁画の描いた順番は、最初に「聖体の論議」、2番目は「アテナイの学堂」、3番目は「パルナッソス」で最後に「枢要徳」となります。
天井もラファエロと弟子らで描かれています。
これまで第71回~74回にかけて解釈してきた「アテナイの学堂」では、中央のプラトンにレオナルド・ダ・ヴィンチを兼任させていました。
そして、ラファエロ自身の肖像と反対側の並びに、鑑賞者に向けて視線を送る3人をいれました。
これは、レオナルドの作品の仕掛けとなっている「兼任」と「異時同図には見えない異時同図」を、ラファエロも仕掛けたものでした。
詳しくは第71回~74回を参照ください。
で、この「アテナイの学堂」は2番目のものです。
では、1番目に描いた「聖体の論議」は、何かレオナルドに関連しているのか?
3番目の「パルナッソス」は?
4番目の「枢要徳」は?
という順に、これから進めたいと思います。
第76回は「聖体の論議」です。