第6回 異時同図法とは? | レオナルド・ダ・ヴィンチの小部屋~最後の晩餐にご招待

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2021年5月末から再度見直して連載更新中です。

ヴェロッキオ工房にいた、ペルジーノ、ギルランダイオ、ボッティチェリらの作品をいくつか紹介してきた中に、異時同図法の作品がありましたよね。

 

今回はその異時同図法についてです。

 

異時同図法はヴェロッキオ工房の面々が始めに描いたのではなく、自分の知る限りにおいては

古いもので1426-27年のマザッチョの『貢ぎの銭』という作品があります。

 

下差しこちらが『貢ぎの銭』で、マタイ福音書17章24-27節の場面を描いたものです。

①中央は、収税人がイエスに税金を要求し、イエスはペテロに魚を釣って口の中にある銀貨を渡すように指示するところ。

②左側は、ペテロが魚の口の中から銀貨をとるところ。

③右側は、ペテロが銀貨を収税人に渡すところ。

 

1枚の絵の中に①②③のペテロが描かれています。

このように同一人物の異なる時間を複数描くことを異時同図法といいます。

 

つまり異時同図法かどうかは、絵の中に同一人物が複数描かれているかどうかで判るわけです。

 

 

上差し洗礼者ヨハネから洗礼を受けるイエスの場面を中央に、左右に群衆に語りかけるイエスを描いています。

 

 

上差しマタイによる福音書4章1-11節

悪魔がイエスに三つの試練をする場面

 

 

上差しこれはモーセです。

 

 

上差し漁夫だったペテロとアンデレを弟子にする場面

 

宗教画ですし、容貌からみても同一人物は誰で、何処に描かれているのか判りやすいですよね。

イエスやモーセが複数描かれているこれらの作品は異時同図法の絵であることに誰もが異論はないでしょう。

 

 

 

ところが!

 

ヴェロッキオ工房の『彼ら』の作品の中に、

異時同図法には見えないけれど、既成概念の裏をかいて異時同図法にさせている!と見える作品があるのです。

 

その作品については、この次に。ウインク