新宿ピカデリーのクーポン券を利用して『ハナレイ・ベイ』を鑑賞しに行った。今年に入って劇場で鑑賞した作品は『オリエント急行殺人事件』『火花』『カードキャプターさくら』-封印されたカードー、『鎌倉ものがたり』『宇宙戦艦ヤマト』2202-第4章「天命編」-、『スター・ウォーズ』-最後のジェダイー、『ダークタワー』『ガッチャマン』-さらば友よー、『空海』『ドラえもん』-のび太の宝島ー、『さよならの朝に約束の花をかざろう』『坂道アポロン』『しあわせの絵の具』『ペンタゴン・ペーパーズ』『ジュマンジ』-ウェルカム・トゥ・ジャングルー、『ブラックパンサー』『パシフィック・リム』ーアップ・ライジングー、『ワンダーストラック』『ママレード・ボーイ』『リズと青い鳥』『アベンジャーズ』-インフィニティー、『ラプラスの魔女』『レディ・プレイヤー・1』『ランペイジ』『宇宙戦艦ヤマト』2202-第5章「煉獄編」ー、『ミッドナイト・サン』『ビジョン』『ピーター・ラビット』『あさがおと加瀬さん』『羊と鋼の森』『宇宙戦隊キューレンジャーVSスペース・スクワッド』『猫は抱くもの』『ハン・ソロ』『(ニンジャ)バットマン』『ジュラシック・ワールド』-炎の王国ー、『未来のミライ』『怪盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー』ーアンフィルムー+『仮面ライダービルド』-ビー・ザ・ワンー、アニメ映画版『君の膵臓をたべたい』『アントマン&ワスプ』『500ページの夢の束』『サニー』-強い気持ち・強い愛ー、『コーヒーが冷めないうちに』『プーと大人になった僕』『散り椿』『日日是好日『ルイスと不思議な時計』『パーフェクトワールド』『ここは退屈、迎えにきて』『宇宙戦艦ヤマト』2202-第6章「回生編」-、『はいからさんが通る』-後編ーに続いて51作目だ。

 私は『ノルウェイの森』「70年前後のサイケテイスト溢れる理屈ぽい官能文学の世界観」に見事にハマってしまって原作を購読した。僕が生誕する以前の出来事だけど、藤子ファンの自分にとってA先生がブラック短編で描いてきたことと重なるように感じたことも理由だった。わが分裂の『ノルウェイの森』

 他の村上春樹作品は未読なのだけど、たぶん自分自身がハルキストとしての素質が内包されてるのだと思う。この作品は『ハナレイ・ベイ』で一人息子がサメに襲撃されて亡くなり喪失感を抱えてる母親が主人公だから『ノルウェイの森』と関連めいたものも楽しみにしていた。購読したパンフレットで初めて知ったのだけど、元々は東京奇譚集という短編集に収録されていたらしい。

 そして『ハナレイ・ベイ』も凄く面白かった。短編集が原作なので吉田羊さん演じる母親が息子が亡くなったハワイで息子との接触を試みるだけの作品なのだけど、これが良い。そして、セリフ自体が少ないのも我々、観客の想像力を委ねてくれるものを感じる。亡くなった息子と同じ年頃の二人組の大学生と途中で出会うのだけど、この二人が息子同様にサーフィン目当てに訪れたことは去ることながら、計画性も感じない連中だから息子と重ねるように面倒を見ることになり、テント生活の彼らに自分が支払う形で宿泊先を斡旋するなど、姉御っぷりが格好良かった。

 回想編を拝見すると、結構、息子は息子で憎たらしさの方が強調されていて、美化されていないのが凄いと思った。大学生だけど反抗期と言うか、母一人子一人ってことも或るせいか、母親へ反抗的な態度を示すことで接触する面倒臭さが印象に残った。

>私は息子が嫌いでした。だけど愛してました

 この涙ながらの訴えが、そのまま描かれていたと思う。僕は『青天の霹靂』を「ぼくの生まれた日」に直面したタマシムマシンの傑作と表現したけど、今回は息子を失った母親の喪失と再生ってことで逆バージョンというかね。しかも『ノルウェイの森』のプロデューサーが『トイレのピエタ』を鑑賞して死生観に共通するものを感じて松永大司監督を抜擢したとのことで『トイレのピエタ』も大好きな作品だけに松永監督作品には今後も注目したいものだ。