本日は9月3日。『ドラえもん』の誕生日。何と8月31日で亡くなった彼が3日生き延びて(本当は実現出来なかった)09年の『ドラえもん』の誕生日を迎えられる。当日、人間やじろべえが午前中の配達を終えて局に戻りローソンに入ろうとしたら吉本大輔君と遭遇した。

人間やじろべえ「この前はごめん。突然、怒鳴ったりして」
吉本「良いですよ。人間やじろべえさんが僕を思って叱ったことだから」
 どーも、人間やじろべえは吉本の素直な前向きな明るさが苦手だ。
人間やじろべえ「お前、昼飯は?」
吉本「これからですけど」
人間やじろべえ「今日は食堂で俺が奢るよ」
吉本「僕、年末年始に短期バイトしていたけど部外者ですよ」
人間やじろべえ「構いやしないよ」
吉本「人間やじろべえさん。お弁当ですか?」
人間やじろべえ「そうだよ」
吉本「それじゃー、何故、ローソンに」
人間やじろべえ(藤子・F・不二雄フェアを指差して)これだよ」
吉本「なるほど」

 菓子数種類と収集しているクリアファイル1つをレジに持ってく。パート店員のおばちゃんが全部纏めて入れようとしたが、人間やじろべえが途中で止めた。

人間やじろべえ「あっ、すいません。お菓子とクリアファイルは別々にして頂けませんか?」
おばちゃん店員「えっ!?」
人間やじろべえ「ファンって結構、状態を気にするんですよ。例えば、郵便なんかでも折り曲げ厳禁なんかあったりして、僕らは面倒臭いなと思いつつも、従ってたりして」
おばちゃん店員「本当。それじゃー、クリアファイルは自分で入れてくれる」

 ローソンを出て局に向かう人間やじろべえと吉本君。店内の出来事が意外に思えた吉本君が人間やじろべえに伝えてしまった。

吉本「人間やじろべえさんって気難しい印象が強かったけど」
人間やじろべえは黙って吉本君と話しを聴いている。
吉本「結構、気さくなんですね」
人間やじろべえ「そりゃー、マニアの価値観なんて俺らが丁寧に説明しないと理解出来ないよ。ましてや、あのおばちゃんは仕事でやってる訳だし」
吉本「こういった部分で一方的に主張してるだけだと、逆効果だと?」
人間やじろべえ「そういうこと」
吉本「でも人間やじろべえさんって以前のブログを拝見する限り、こういったことって苦手でしたよね」
人間やじろべえ「まあね。まあ俺も含めてなんだけど、藤子ファンの人のブログやツイッターを拝見すると肝心な部分で説明出来ない人が多い感じはするけどね」
吉本「そうなんでしょうね」
人間やじろべえ「藤子不二雄の雄って雄雌の雄なんだけど、夫って書いたのを拝見しただけで「気持ち悪い」と一方的にね」
吉本「マジっすか!!?」
人間やじろべえ「そんな突き放され方をされたら、逆に感じ悪いとしか思えないんだけどね」
吉本「ですね」
人間やじろべえ「好きだからこそ過敏になってしまうのが理解出来るからこそ、肝心なところで敵視しないで「丁寧に説明すべきなのでは?」と最近、思うようになったんだ」
吉本「それじゃー、何だかんだ言っても藤子ファンは全員良い奴だと信じたいってことですか?」
人間やじろべえ「それは完全に或るね。イライラすることも多いのだけど」
ナオテー「あれ!吉本君じゃん」
吉本「ナオテーさん。お久しぶりです」
ナオテー「お前、何で吉本君を局内に連れ込んでるんだよ」
人間やじろべえ「今日の昼休みは俺が奢るんだよ」
ナオテー「だからって部外者の吉本君を連れ込むって有り得ないだろ」
人間やじろべえ「吉本君、年末年始には短期ゆうメイトに従事してるだろうが」
ナオテー「テメー、何を小学生みたいな屁理屈言ってるんだ」
人間やじろべえが人間やじろべえを披露する。
ナオテー「益々、拍車してるよ」
人間やじろべえ「それに俺に言わせればな」
ナオテー「何か文句が或るのかよ」
人間やじろべえ「本来、ツッコミのお前が猥談で滑りまくってる方が有り得ない」
ナオテー「うるせー。俺は素人だよ。それに俺に言わせればな」
人間やじろべえ「俺に言わせれば?」
ナオテー「テメーのシュールなネタを応用が利かないだけで格好つけてるだけだろうがよ」

・・・・・ナオテーの乱入により、センスの無い即興漫才になってしまったことはさておき、定時で仕事を終えた人間やじろべえは本日もあるばたいん氏が入院している病院に見舞いに行くことに。途中バイトを終えた吉本君と再度遭遇し、今度のM-1に出場する相方の見舞いだと知って「是非、ご挨拶させてください」ってことに。「今度のM-1を楽しみにしてます。頑張ってください」と吉本君は退散した。

あるばたいん「若々しくて、素直で礼儀正しい子だね」
人間やじろべえ「あいつ。良い意味でも悪い意味でも学生気分なんだよ。18の時に高校出てそのままNSCに入学したし、憧れの芸人が神様同然の奴だから」
 沈黙が流れる。元々、人見知りの激しい人間やじろべえだけに毎日あるさんの見舞いに来てるとは言えども、黙々と病室でマンガを愛読してることが多い人間やじろべえだが、突然を口を開いた。

人間やじろべえ「単純・・・・・繊細・・・・・デリケート・・・・・悩み出すと止まらない・・・・・悩み出すと決断するまで時間が掛かる・・・・・頑張ってるところを見られるのが死んだ方がマシと思えるぐらいこッ恥ずかしい」
あるばたいん「・・・・・」
人間やじろべえ「文化放送の『小野綾子の夢送信』って番組で小野綾子さんの誕生日診断の結果。小野さんはラジオでのパーソナリティぶりはさっぱりした感じの口調で、尚かつ4月生まれなんだけど診断結果が俺と他人だと思えないと思ったよ」
あるばたいん「・・・・・」
人間やじろべえ「大体!俺がお笑いイベントの出演者に固執するのだって普段のコンプレックスの反動に過ぎないちゃっちいもんだと思ってたし」
あるばたいん「・・・・・」
人間やじろべえ「正直、現在でもそう思ってる」
あるばたいん「・・・・・」
人間やじろべえ「量産化したお笑いブームに幻滅して・・・・・にも関わらず俺は社会人になろうとせず、お笑いにしがみついて・・・・・お笑いから目を逸らして・・・・・セールス至上主義の業界の権力者や「芸人と結婚したい」とほざいてやがるミーハーファンの女の子のせいにしてきた。・・・・・そんな時に「高校出たら、そのままNSCに入学する」って吉本君が年末年始に短期ゆうメイトとして配属されて」
あるばたいん「・・・・・」
人間やじろべえ「たかだか18の彼に上から目線で「お前はまだ解ってねー。視野の狭いお前なんか「こんな筈では」という状態に陥るだけだからな」と八つ当たりしてしまったんだよ。一体!どこで俺が八つ当たりした情報を得たのか知らないけど、突然ナオテーが俺に向かって八つ当たりしたことへの謝罪を促してきてね」

>こんな筈ではという状態に陥ったのはお前自身もだろ

人間やじろべえ「と突きつけられたよ。その後で俺は吉本君に謝罪しに行って自分の願望も託したエールを送ったよ。最も「お笑い以外の選択を考えなかった時点でお前はまだ解ってねー」とか「お笑いも含めて、どの仕事も「こんな筈では?」という状態に陥るのは通過点なんだろうな」とかどきついことも言ったけどね」
あるばたいん「(苦笑)」
人間やじろべえ「でも、あいつは相変わらず、芸人さんを尊敬し、お笑いが大好きだ。お笑いが好きだからこそ目を逸らしたいことだって彼は直面してる筈なんだ。だからね。あいつの最大の才能は、それでもお笑いが大好きだってことが変わらないことなんだよ」
あるばたいん「・・・・・」
人間やじろべえ「お笑いやってる内に自分でも気づかずに藤子先生が作品で伝え描いてたことと逆の考え方をしていたんだよ。A先生なんて「読者はプロ」だと断言してるからね。ミーハーファンの女の子を信じようさえしない段階で逆の考え方だよ」」
あるばたいん「あの頃のエンタ批判が激しかったよね」
人間やじろべえ「レッドカーペットレギュラー化も反対を唱えまくってた」
あるばたいん「僕もエンタの人工的な構成は抵抗を感じてたけど、好きな番組だったから苦笑してたよ」
人間やじろべえ「だけど来年エンタが終了して、お笑いブームが終焉を実感したんだ」
あるばたいん「マジで」
人間やじろべえ「お笑いブームの最終回を実感して、『少年時代』の進一と同じ気持ちになった。「いつまでも子どもでいたい」としか思ってなかった感覚から「だからこそ保護者でもありたい」というように思えてきてね。将来的には構成作家になりたい自分がいる」
あるばたいん「どんなことがしたいの?」
人間やじろべえ「基本的に怒らないのだけど、質問されても答えを示さないで、だけど、異変に気づいた自ら話しかけて「泣いて良いっすか?」って問われたら「良いよ」と返事する人」
あるばたいん「なるほど」
人間やじろべえ「藤子作品に限らず、基本的にコンプレックスの塊だったヘタレ主人公が何らかのきっかけで、あがきながらも成長する作品が俺は好きだったりするんだよね。逆にジャンプがスローガンに揚げてる「努力・友情・勝利」を押しつけたような作品は苦手だったりする」
あるばたいん「なるほどね」
人間やじろべえ「後ね。koikesanが藤子作品専門のプロの評論家として、著書刊行したりしてるんだよ」
あるばたいん「えっ、マジで!?」
人間やじろべえ「個人的には是非、思春期の頃のkoikesanにお会いしたいね。どれだけエゴ剥き出しの熱血藤子ファンだったのか?(笑)」


 それから数日後、吉本君は人間やじろべえに薦められ借読していた『まんが道』の文庫版全巻を人間やじろべえに返却した当日に人間やじろべえに誘われてボウリングに。基本的に人間やじろべえはボウリングだと対等に勝負したいので割り勘にしている。尚、映画も奢ることは無い。プレイ後に人間やじろべえがラーメンを奢ることに。

人間やじろべえ「吉本君」
吉本「どうしたんですか?人間やじろべえさん」
人間やじろべえ「お前によく似たボケーとした。もとい、色々と考えすぎて踏み込めずにした奴がいた。・・・・・しかもそいつは、へそ曲がりのくせして単純。もとい、短絡的だったからこそ、ひねくれた考え方しか出来なかった」
吉本「・・・・・」
人間やじろべえ「でも、君は常にお笑いが好きだと言う気持ちを維持している。そして、素晴らしい仲間にも恵まれてる。だから・・・・・だから」
吉本「何を言ってるんですか!?人間やじろべえさん」
人間やじろべえ「・・・・・」
吉本「人間やじろべえさん。必死になって立ち直ろうとしてるじゃーないですか!!」
人間やじろべえ「・・・・・」
吉本「何故、毎週土曜になったら即興漫才のネタを書くようになったのか?現状から1ミリでも前に向こうと模索してるんでしょう!!俺だって芸人ですよ!!解りますよ」
 そして、吉本君が店内だってことを構わず号泣して喚きだした。
吉本「人間やじろべえさんのバカー・・・・・わからず屋ー・・・・・頑固者・・・・・へそ曲がり・・・・・天の邪鬼・・・・・ひねくれ者」
人間やじろべえ「俺は・・・・・君より年上だからこそ、こう言われたかったのかもしれないな」


              続きは来年の8月31日をお楽しみに