前売り券を購入済みだったので、漸く『おおかみ子どもの雨と雪』を弟と鑑賞しに行った。今年に入って劇場で鑑賞した作品は『怪物くん』『海賊戦隊ゴーカイジャー』VS『宇宙刑事ギャバン』『テンペスト』『ダーク・フェアリー』『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』『ALWAYS三丁目の夕日』64、『しあわせのパン』『ヒューゴと不思議な発明』『TIME』『ドラえもん』ーのび太と奇跡の島ー、『戦火の馬』『宇宙戦艦ヤマト』2199ー第1章「新たなる旅立ち」ー、『HOME愛しの座敷わらし』『ジョン・カーター』『バトルシップ』『仮面ライダー』VSスーパー戦隊ースーパーヒーロー作戦ー、『タイタンの逆襲』『アーティスト』『幸せの教室』『スペック』『虹色ほたる』ー永遠の夏休みー、『ミッシングID』『宇宙兄弟』『シグナル』ー月曜日のルカー『宇宙戦艦ヤマト』2199ー第2章「太陽圏の死闘」ー、『LOVEまさお君が行く』『スターシップ・テュルパース』『特命戦隊ゴーバスターズ』ー東京エネタワーを守れー×『仮面ライダーフォーゼ』ーみんなで宇宙キターー、『プロメテウス』に続いて30作目だ。

 時かけファンの自分だが、実を言うと細田守監督の作品を劇場で鑑賞したのは初めてで或る。自分が会員で或るピカデリーで『おおかみ子どもの雨と雪』を鑑賞しに行ったのだが、『サマーウォーズ』は新宿ピカデリーでは上映されておらず、バルト9では話題作だったこともあり、自分たちが鑑賞したい上映時間が満席だったケースが続き、結局、未見のまま上映終了になってしまったんだよう(涙)

 さて『時をかける少女』『サマーウォーズ』と続いて『おおかみ子どもの雨と雪』も奥寺佐渡子さんが脚本を担当している訳だが、なまじ『八日目の蝉』の脚本も担当していた女の人だけに両作品とも母性愛をテーマに描いた作品だし、はっきし言って細田監督の作品以上に注目していた。

 さて感想はと言うとアニメファンには勿論、『八日目の蝉』に影響した人は是非、鑑賞して欲しい素晴らしい内容だった。地上波初オンエアの時に改めてネタバレ前提レビューを書こうと思うけど、当初は花さんに苦手意識を感じていた。何しろ奨学金で国立大学に通いアルバイトと両立させてるってだけでも凄すぎだし、大人からしてみれば都合良すぎ。それでいて外見は小柄でおとなしそうで守ってあげたい女の子で我々、男にとっても都合の良い女の子のように思えたんだよね。

 花さんは凄く強くて立派な母親だと思う。だが敢えて言おう。


>花さんは普通の女の子だ

 この感覚は母親になってからも変わらなかったね。何しろ新米ママを描いていた訳だからね。リアリティに沿った作品だからこそ新米ママとして様々なことに直面し学ぶ姿が普通の新米ママのように思えたんだよね。


 予告を拝見してもご承知の通り、姉:雪は野性的で、弟:雨は内気で甘えっ子だ。それでいて二人とも狼としての本性を内包している。だからこそ言いたい。


>雪と雨は普通の姉弟だ。


 『雨と夢のあとに』の桜井雨ちゃんは女の子ってことはさておき、なまじ自分が藤子ファンだけに「狼の本性を内包している子どもゆえに発生した事態」がF先生の作品や当ブログでレビュー記事(コミック(藤子以外)を参照)を書いていた『アイリス・ゼロ』と重ねたね。


 『時をかける少女』『サマーウォーズ』と着実に人気と実績を積んだ細田守監督の父親的視点の作品なんだけど、『八日目の蝉』の脚本を手掛け、パンフレットのインタビュー文を拝見して5才の子の母が描いた作品なんだよね。雨と雪が何才まで成長するのかまでは知識を仕入れない状態で鑑賞したんだけど、なまじ自分が時かけの保健室のシーンで早川友梨に惚れたキモい男で『君に届け』など少女マンガも好きなだけに雪が女の子としての感情が芽生えてく姿が描かれてること自体も花の母性愛も含めて、奥寺さんが女性だからこそ描ける部分だと感じてるし、それでいて奥寺さんがパンフレットのインタビューで仰っていた「自分が子育ての渦中にいるので却って客観視出来ない部分を細田さんにフォローさせて貰っていた」という点は見事に男女二人の合作していると思う。そしてネタバレ同然になってしまうが敢えて言おう。俺は雨と雪は逆転しただなんて思ってない。何故なら俺にとって雨も雪も普通の子で成長するに従って選択した道が描かれてるからだ。

 だが、この作品はリアリティの中にツッコミ処も多い。只、ツッコミ処はツッコミ処で楽しんで貰いたいので、地上波初オンエアまでは黙っておこう。只、自分自身が外務ゆうメイトに従事する以前は登録制の派遣バイトで工事現場にも入っていて、夏場に現場の前を通るだけで吐き気を催していた程、神経衰弱に陥ってたので、俺からしたら花さんはド素人の女の子に過ぎないから花は夏場の農作業だと映画で描かれてる以上に過酷な作業に翻弄されていたことになるね。でも、それは僕の一方的な独りよがりであって、災害や動物が生きる為の被害は描かれてるし、菅原文太さんが声を演じていた韮崎の指導も含めて、リアリティの説得力さえあれば良いと思ってる。

 しかも、その僕が現在では自転車で郵便配達している。普通に中型免許の取得を勧められるし、作業の効率が良くなるのも分ってるのだが、自転車は自転車で結構、楽しんでたりする。外務労働はどこかで開き直らないと、とても出来ないね。

 さて、実際に子育てされてる親御さんにとっては「主婦としての苦労は共感しつつも、絶対に花さんのような接し方は出来ない」というのが本音だと思う。なので捉え方は絶対に別れると思うだろうね。なので自分も花さん同様に育児の渦中で学んでいる新米ママだと割り切った見方をお薦めします。雪はともかく雨の教育に関して、実際に子育てされてる親御さんにはどう移っただろう?だけど、俺にはあのクライマックスは自然体の感動を得られたし、あくまで雪が自ら選んだ決断だ。

 そして、細田守監督のアニメ作品ということで『時をかける少女』と『サマーウォーズ』をご覧になった観客は多いと思うんだけど、『八日目の蝉』をご覧になった人はどれくらいいるのだろうか?なまじジャンルが違うだけに同じ奥寺佐渡子さんが脚本を担当した母性愛をテーマに描いた作品としてご覧になって欲しいね。

 そういえば角川コミックスで1巻が刊行中なんだよね。是非、購読したい。そういえば『虹色ほたる』ー永遠の夏休みーの原作小説とコミックスも未購入なんだよね。そして『虹色ほたる』はきちんと地上波オンエアを果たすのだろうか?通常の作品では地上波オンエアの際にエンドロールカットされるのだが、『虹色ほたる』に限ってはユーミンが主題歌を歌ってること自体がセールスポイントでも或るので是非カットして欲しくないね。