2012年5月25日より6月7日まで、私は米ボストンとニューヨークに滞在した。
下記は5月29日に現地で書き留めたものである。
息子の住んでいるアパート近くの公園。
おとぎ話に出てくる風景のようだ。
【ボストン滞在記1】私は今、アメリカのボストンに滞在している。若い頃は「夢のカリフォルニア」に憧れてサンフランシスコやロスアンジェルス等の西海岸を旅したことがある。今回はマサチューセッツとニューヨークを予定している。かつてビージーズの「マサチューセッツ」という曲が大ヒットした。
【ボストン滞在記2】当時高校生だった私は「マサチューセッツ」という曲が大好きで、ギターの弾き語りでこの曲を歌っていた。だから感慨もひとしおだ。ところで、二十歳になる息子は高校を卒業してボストンの音大に行っている。会うのも久々ぶりだ。
【ボストン滞在記3】もうすっかり英語も堪能になっていて、アメリカの荒波を立派に泳いでいる。私も10代で親元を離れたが、時代の違いは大きい。その頃の私は日本でがむしゃらに音楽の道を突き進んでいた。「士農工商、犬猫、バンド」と揶揄された時代とは状況が違う。
【ボストン滞在記4】今や音楽産業はグローバルであるからして、日本だけを見ているわけにはいかなくなった。音楽を通して世界を再確認することが今回の旅の大きな目的であるが、息子に会うことは重要であった。なぜならば、息子の音楽教育を幼少の頃から施していたのは私だからである。
【ボストン滞在記5】ジャズもラテンもアフリカが根底にある兄弟のようなものであるが、特にジャズはアメリカが生んだ世界で最も偉大なるものの一つである。これなくしてロックやポップスも発展しなかった。その秘密は言語にある。英語特有のリズムが産みだされる音楽に磨きをかけていった。
【ボストン滞在記6】アメリカは移民の国である。ヨーロッパのクラッシックや世界各国の民俗音楽が持ち込まれた。とくに黒人たちのリズムやブルースにおける音階(ブルーノート)があったからこそジャズが成立したことは言うまでもない。しかも即興で奏でられるのだから、これほど自由な音楽は珍しい。
【ボストン滞在記7】この世界的大発明にして、人類史上最も急速に進化した音楽はジャズを差し置いては存在し得ない。アメリカが生んだ最も偉大な作曲家はガーシュィンだ。「ラプソディー・イン・ブルー」にみられるが如く、白人であるにもかかわらず、その作曲技法にはジャズが根底にある。
【ボストン滞在記8】ジャズは高度な芸術性をもたらすが、その一方では最高のエンターテインメントの世界を繰り広げる。アメリカで発展した映画やミュージカルも、ジャズあればこそ、その娯楽性を獲得した。「ウエストサイド・ストーリー」や「ハロードーリー」などを観れば一目瞭然である。
【ボストン滞在記9】それほどまでに発展したジャズにも問題点はある。今や世の中に残るメロディーを生みだせないで苦しんでいる。それは大衆との隔たりになってしまった。「ダニーボーイ」や「明日に架ける橋」や「ホテル・カリフォルニア」のようなメロディーの前には平伏せざるを得ないからだ。
【ボストン滞在記10】これからの世代に期待したいことがある。それは品位がありながらも高度な感性と技術を持ちつつ、しかも聴衆と乖離(かいり)することなく、その優れたエンターテインメント性を世界に提供することである。培った能力を日本から世界に発信する時代は間もなくやって来るだろう!
【ボストン滞在記11】ボストン市内には地下鉄が走っているので便利である。いざとなったら1時間位歩けば大体の観光スポットに行ける。綺麗で安全なところであるから日本人には適している。昨日は夜中の12時過ぎにケンブリッジからバスに乗り、30分歩いてホテルに帰ったが、何の問題もなかった。
【ボストン滞在記12】現地時間で25日の11:30にボストン・ローガン空港に到着した。税関では滞在期間と目的を訊かれる。2週間はロングステイなので、職業と所持金等を根掘り葉掘り質問された。2日目には息子がジャムセッションをやるというのでライブハウスに赴いた。今日は滞在5日目。
【ボストン滞在記13】息子はジャズ・トランぺッターであるが、歌とピアノと作曲もやる。大学ではジャズ・コンポジション(作・編曲)科に在籍している。久しぶりに息子のトランペットを聴いた。1年前よりはるかに上手くなっていて、地元の黒人ミュージシャンたちをも圧倒していた。さらなる磨きを!
【ボストン滞在記14】ついこの前のこと、息子は大学より「クラーク・テリー・アワード」を受賞した。トランぺッターでただ一人の栄誉に輝いた。息子と歩いているといろんな生徒が彼に挨拶してくる。少しづつ、学内でその存在を知られるようになってきたみたいだ。日本は彼を受け入れるだろうか。
【ボストン滞在記15】ボストンは美しい街である。特に建築物が見事である。数々の教会に歴史の深さを垣間見る。石の文化だ。ここはひょっとしてキリスト教圏におけるアメリカの聖地ではあるまいか。アパートや店舗等の建築物も赤いレンガや石で統一されていて、その佇まいやデザインには思想がある。
【ボストン滞在記16】不思議な事に、このシーズン、学生以外の日本人にはめったにお目にかかれない。直行便が開通したが、日本人ツアー客たちは集団でお決まりのコースを巡っているのだろう。はたしてこれでいいのか。留学生も韓国や中国からは多数来ている。しかし日本国の支援は無い。
【ボストン滞在記17】日本の大学を秋入学にして、外国の学生が入りやすくするとの事だが、それは全くおかしい。日本の学生たちが外国に留学しやすいようにするのが先決だろう。これではますます日本の国力が低下する。戦後の日本人ほど幼稚な人種は珍しい。海外で揉まれないと日本は終わる。