ご訪問くださり、本当にありがとうございます。


霊や生命について書かれています。


ですから、興味がわかなかったり、読んでいて不愉快になられるのなら、迷わずにスルーされて下さいね。


あなたの大切なお時間を無駄にしたくありません。

 

 

所要時間=6~8分程 です。

ご関心があればお時間のある時にでも、ゆっくりとお読みになられて下さい。

 

 

 

 

日本のスピリチュアリズム(Spiritualism)の父とも言われる、浅野和三郎(あさの わさぶろう)氏が、

 

妻の多慶子さんを霊媒として、他界した次男の新樹さんから受け取った数々の霊界通信をもとに、

 

心霊科学研究会より昭和6年~昭和11年にかけて3冊にわたって編集・出版され、

 

昭和24年に一冊に纏められた著述の、下記復刻版より抜粋・編集しています。

 

本文復刻版・霊界通信『新樹の通信』 (潮文社)

 

原著の旧漢字は改められるだけ新漢字に変更しております。

 

 

 

 


 

(上記の続きです)

 

 

新樹の通信
 

第一篇

(一)通信の開始

 

 

《  》 内は私が追記しました。

原著の体裁を変更しています。

 

 
 

 

新樹《シンジュ》が満鉄病院で歿(なく)なったのは昭和四年二月二十八日午後六時過ぎでした。


彼の父《=浅野和三郎氏》はその訃報に接すると共に直ちに旅装を整え、

 

翌(あく)る三月一日の朝、特急で大連に向い、

 

同四日大連着、

 

五日告別式火葬、

 

六日骨上げと、

 

かかる場合に通有の筋書を半ば夢見る心地で急がわしく辿りつつありました。


かくて同十二日の夕暮には彼の遺骨を携えてさびしく鶴見の自宅に帰着しました。


彼の父に取りて甚だ意外だったのは、新樹の霊魂が早くもその一日前(三月十一日)に中西霊媒を通じて、不充分ながらもすでに通信を開いていたことでした。


最初、霊媒にかかって来た新樹は、自分の死の自覚をもっていなかった そうで、

 

あたかも満鉄病院に病臥しているかの如く、夢中で頭部や腹部の苦悩を訴えたといいます。


その時立会人の一人であった彼の叔父 《浅野正恭中将》 は、

 

例の軍人気質(かたぎ)で短刀直入的に、

 

彼がすでに肉体を棄てた霊魂に過ぎないこと をきっぱり言い渡し、

 

一時も早く彼の《死んだことの》自覚と奮起とを求めたそうであります。

 

 

『えっ!僕、もう死・・・死んだ・・・僕・・・残・・・念・・・だ・・・。』

 

そう絶叫しながらその場に泣き崩れたと言います。
《↑新樹さんが、中西霊媒に憑って話した言葉や振舞い》

 


新樹の霊魂はその後、数回中西霊媒を通じて現われ、また一度ちょっと粕川女史にも感応したことがありました。


それ等によりて彼の希望は次第に明白になりました。


かいつまむとそれはこんなことでした。

 

 

(一)約百ヶ日を過ぎたら母 《=霊媒の浅野多慶子氏》 の体に憑りて通信を開始したい。


(二)若くて死んだ埋合わせに、せめて幽界の状況を報告し、父《=浅野和三郎氏》の仕事を助けたい。

 


彼の父も母も百ヶ日の過ぎるのを待ち構えてその準備を急ぎましたが、大体においてそれは予定の如く事実となりて現われました。


彼の母は十数年前から霊視能力を発揮していましたが、今回新樹の死を一転期として霊言能力をも併せ発揮し、

 

不完全ながら愛児の通信機関としての心苦しき任務を引き受けることになりました。


最初の頃は、新樹自身もまだ充分に心の落ちつきができておらず、

 

また彼の母も感傷的気分が勝ちすぎていましたので、とかく通信が乱れがちでありましたが、

 

月日の経つと共に次第にまとまりができて参りました。


八月十二日、第二十回目の通信を寄越した時などは、彼は自分の死の当時を追懐して多少しんみりした感想を述べるだけの心の余裕ができておりました。

 

 

<新樹>

 

僕、叔父さんか、『新、おまえはもう死んでしまったのだ』と言いきかされた時は、くやしいやら、悲しいやら、実にたまらない気がしました。

 

お母さんから、あんなに苦労して育てていただいたのに、それがつまらなく一会社のただの平社員で死んでしまう・・・。


僕はそれが残念で残念でたまらなかった。


しかし僕、次ぎの瞬間にこう決心しました。


現世でろくな仕事ができなかった代りに、せめて幽界からしっかりした通信を送ってお父さんを助けよう。


それが僕として一番損害をとり戻すゆえんであり、一番意義ある仕事であろう。


それには是非お母さんの体をかりなければならない。


僕、最初から他の人ではイヤだと思っていた・・・。

 

 

簡単に述ぶれば新樹の通信はこんな順序で開始され、もって現在に及んでいるのであります。


それがいつまで続くかは神ならぬ身の予想し得る限りでないが、

 

恐らく彼の父また彼の母の現世に生きている限り全く断絶することはないでしょう。


何となれば《=何故ならば》彼の父にとりて心霊事実の調査はほとんどその生命であり、

 

また彼の母にとりて彼岸の愛児の消息は何物にもかえられぬ精神(こころ)の糧でありますから・・・。

 

新樹との通信中、霊媒たる彼の母の霊眼には、ありありと彼岸の愛児の起居動作ならびにその環境《=幽界》が映じます。《※1》


また通信中の彼女の言語態度はある程度、亡児生前の面影を髣髴(ほうふつ)せしめます。


これらは当事者にのみ判る事柄で筆舌をもって伝えるによしもなきことは筆者の甚だ遺憾とする所であります。

 

 

 

※1 ブログ管理者注記

正確には、霊媒であるお母様の霊眼に、霊界側(お母様の指導霊団)が、新樹さんと彼がいる幽界の背景を  見せている  ということになります。

なので、これは五感の延長でしかない単なるサイキックな心霊能力ではなく、霊界側からのサポートを受けながらのスピリチュアルな霊能力と言えます。

(注記以上)

 

 

 

 

「新樹の通信(9)」へ続きます。

 

 

 

ここまでお読み下さり、本当にありがとうございました