今日見た映画の感想です
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2011年10月22日

◆症例X 監督:吉田光希(日)

テーマ:邦画
症例X  日本 2004年
監督:吉田光希
出演:坂本匡在、宮重キヨ子、沢田幸子、野中裕樹
撮影:小島悠介、柏田洋平 演出:池田将

ねたばれします。

この作品は好きだ。
生活がなされているから。

植物が朽ちるように、人もまた朽ちてゆく。

子どもがおっさんになっていくのを見るのはどんな気持ちだろうと、30歳を迎える子どもを持つ私は思う。
いつか、子どもが初老になり、私の面倒を見るようになるのは嫌だな、と心底思う。

人は時として病いを得る。
病いと諸般の事情は、ああ生きたい、こう生きたいという気持ちなどなぎ倒していくかもしれない。

一般的に、気がつけば、親はこうであるべきとか、子はこうであるべきとか、そんなものが届かない状況になってしまっているのがほとんどだ。
人の生活はおおかたそんなものだ。自分で決めているように見えて、その実、吹きだまる木の葉のようで、あちこちにひっかかりつつ、流れつつしてようやっと「そんなかたち」をとって生活しているだけ。
でも最近とみに、そのことがいちばん祝福されていいのじゃないかと思うようになった。

母でもなく子でもなく、その人がそこにいて息をしている感覚を拾い上げている映画。
この映画は、とても優しいお話で、小さな、小さなエピソードの中にその人らしさが見えていて、それが大げさにいえば、「存在」を示している。
「年若い息子が一人で認知症を患い始めた母親を介護をしている」という一般的には行き詰まった出口のないお話なのに温かい。

どうして大学生にこんな作品が撮れたのか、不思議だ。「家族X」より「症例X」のほうが断然作品として上だ、と思うのは、私が路子(家族Xの主人公)の年齢を過ぎていて、まだ、敏江に至っていないからか。通じる家族と通じない家族で、私は通じる家族が好きだからか。


2つあるライターの片方が火点かず、一つは点く。片方捨てればいいのに、2つある。それが家庭、というものだと思ってしまったりする。
カチカチという音。敏江がすっと立って流し台から点く方のライターを取るシーンは秀逸だ。

敏江が、昼にレジ袋を提げて帰るシーンから一転してそれが真夜中の出来事だと分からせるシーンもすごい。何度も繰り返されたであろう後方のレジ袋。くりかえされる輝かしい敏江の記憶、の行動。

坂本匡在の演技もよい。徐々に、水仕事に慣れ、最後の方では流し台に向かう姿はどこかの食堂の主人のようだ。日常にリズムがでてきて、そのリズムの中に母の立てる音も含めていく。

出口はないが、空は青い。
洗濯物は干せば気持ちが良い。
謙一という人の、良いところが日に当てられる。

どんな状況でもお互い(母と子でもなく家族でもなく人と人であれば全て)の良いところに日が当たるように生きたいものだ。

現在、こんな状況の母と息子は大勢いる。
青空があることに自分で気が付けるかどうか、気が付ける人でいたいと思う。







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