みなさん、ご質問ありがとうございました!!
もう、次の出演作【モーツァルト!】の稽古に入っており、でも身体はまだ【三文オペラ】。みなさんと思いを共有しつつ思い出を語れる事を嬉しく思います。
こちらで10問選ばさせて頂きました。では、さっそく行きましょう口

三文オペラ@新国立劇場 一問一答

Q1: ポリーを演じる上で一番大変だったこと(気を使ったこと)は何ですか?

若いエネルギー。設定では17、18歳とのことで、私の実年齢から言うとだいぶ下なので、ひとつ、いや3-4倍ほどあげないと、持って行けないのが一番気を使ったし大変なことでした。特に声なんかは、地声が低い方なので、高いところキープするのは疲れるとどうしても下がって来てしまうのが自分の中では戦いでしたね。

Q2: 公演の最中、鼻血 が出たり、靴がスカートに引っ掛かってこけたり・・・
と、ハプニングがお有りになったようですが、それら以外で何かハプニング的なエピソードはありましたでしょうか?

今回は今までの作品ほど多くなかったように思います。大きいのはその2つですかね。鼻血はダントツ1位。本当に焦った。でも実は、稽古中にもあったんです。自分が出るシーンの前に。でもその時は多くもなく、出る前には止まっていたので問題はなく。そういった時の対策を教えてもらっていたのですが、本番の時は、一番時間のない、早替え&すぐ歌の時だったので、そんな時間もなく。はい、『BARBARA SONG』の直前でした。(笑)鼻血をすすりながら歌っていたので、演出家やスタッフには、今日やたらで鼻ブレスの音がでかいなとか、鼻水かな?と思ってたみたい(;´▽`A`` スカートにヒールが引っかかってこけたのは、合計3回ありました。千秋楽は、バルバラのあとにアドリブで違う所から出るというのをパパとママには事前に知らせていたのですが(裏スタッフにも)、2人に(裏で走って)『こけるなよ』と言われていたのに、舞台上で本気ゴケしたので、ふたり共笑いが止まらなかったようです。笑

Q3: ソニンちゃん自身では、ご自分のどこの場面が好きでしたか?お気に入りの場面などを教えて下さい。

2景の馬小屋での結婚式のシーンでしょうか。このシーンでは、割と見てる方が多いので、泥棒ズやメッキースのやり取りを楽しめて、稽古の時から好きでした。泥棒ズの役者さんたちは芝居で信頼できる方が多いので、何をしても受けてくれるし、稽古中色々芝居について話したりすることも多かったです。このシーンはあの方々にかかってると言っても過言ではない程、物運びの段取りもすべてやっているので、大変だったと思います。三文オペラはメインキャラクターではない役者さんたちあってこそ出来た芝居でもありました。2景、あのシーンだけで30分以上あるんですよ。稽古でも一番回数をやったシーンかも知れません。

Q4: 三文オペラ期間中の、ポリーのエナジーフード(ドリンク)はありましたか?もしあったら教えてください!

バナナとココナツウォーター。私は本番中これで生きていました(笑) あと、6景(ポリーとルーシーが出会って戦うシーン)後は必ず大量の汗をかくので、自然とスポーツドリンクが欲しくなりましたね。終演後は家で黒酢ドリンク。アミノ酸、クエン酸、のど飴。あまりサプリメント的なものはとりたくないけど、本番中は言ってられないですね。稽古中は、グリーンジュース(コールドプレスかスムージー)が多かったです。

Q5: どこまでが台本どうりなのですか?パパ役ママ役のおふたりはどんなやり取りをしたのでしょう。ピーチャムファミリーのシーンの裏話があったら教えてくださいということでお願いします 。

本番が進むに連れてみなさんアドリブが増えて行っていましたが、私は(笑)基本的にほぼ台本どおり。稽古場でつけたもの以外はないですね。パパとママのシーンについて。わたしはポリーを演じる上でこの親子関係ってとても大切だと思っていて、【ポリー】というキャラクターというより、この2人の娘であるってところに要があるように思っていました。実は親子3人でのシーンが3景(バルバラソングからの結婚報告シーン)しかないのですが、稽古のときから本番最後まで、この3人の結束と信頼関係は強く、本当に楽しかったですし、大好きなお二人でした。ママ役のあめくさんは本当のママみたいに優しくしてくれたし仲良かったです。パパ役の山路さんは以前『戯伝写楽』で共演していますが、そのときは絡みがなかったせいか、まるでお互い別人だったかのように今回は親しくなり、ふたりでバカしたりして楽しかったです。この親子とのシーンは何やっても成立するっていう安心感と楽しさがありました。ちなみに、【バルバラソング】は本番ギリギリまでどういう風に見せるかが決まらず、劇場入ってからも大幅な変更が色々あったシーンです。世界中色々な演出の仕方がある中、演出家と相談しながら、”一人Show(ブリブリ)”を稽古場通し前日にふたりで作り、パパママの居方も劇場入ってから変更でああいう風になりました。

Q6: ちょっとだけ気になったのが、あの両側に階段状に分かれた舞台装置。最後になってメッキースが上まで上るやつです。質問ですが、あの舞台装置は役者さんはやりやすかったですか?

そうですね、稽古場では色々使ったりもしましたけど、結果的に私はあまり使うシーンはなかったですね。ある1シーン以外は。8景のルーシーとの探り合いのシーンでは、あそこ一角しか使えなくてとても苦労しました。稽古場では階段の曲がり具合が緩やかだったので、縦でルーシーと向き合う(客席に向って縦に設置された階段でルーシーが上にいて、私が下で上り下りしたりしている)芝居がまだ出来たのですが、劇場にきたら、カーブ具合から下手のお客さまにまったく顔も身体も背を向けて芝居がみえなくなってしまう事から、すべて変えなくてはならなく、ルーシーと会話しているけど、ルーシーに背を向けてなるべく客席に顔を向ける風にしていました。なかなか難しかったのですが、"階段を使う"ことは、稽古場から『使えるな』と思ったのは、【階級の違い】を見せれること。ルーシーとポリーの関係はそこがポイントでもあったので。ポリーの心理として、探るために図々しくもルーシーの高さにのぼって聞くのだけれども、下手(したて)に出る時はわざわざ下まで降りて"演じて"みる。このシーンだけではなく、他のシーンも、この三文オペラの底辺階級の人たちの話だからこそ、この階段というものが意味していたものってあったと思うんです、ただの美術的セットではなく。最後は絞首刑の台が必然的に上にあったものが、一気に階級のあがったメッキースが上にいて、下で、貧乏人達が歌うと言うような構造もね。

Q7: 好きな曲はどれですか?できれば理由もお聞かせ願えれば嬉しいです。

【焼き餅の二重奏】は、三文オペラに出演する事が決まってから歌う曲を検索した時に初めて聞いた曲でした。これを聞いた時、『え、無理無理。こんな難しい曲歌えない( ゚Д゚)』という衝撃だった曲でしたので、思入れがあると言うか。サビのハモりを1番と2番でちひろちゃんとかわりばんこ(1は私が下、2はちーが下)で歌うようにしたのですが、このハモりがまた難しくって(笑)どんだけふたりで練習したか(笑)お互いソロでハハ♪ハハ♪ハハ♪のくだりは世界中それぞれのアレンジがありますが、私たちのオリジナルが出来て楽しめたと思います。【バルバラソング】はパフォーマンスするのに一番難しかった曲かもしれません。音がマイナーの雰囲気があるのですが、とにかくハッピー感を出したいとの演出だったので、「悲しく聞こえる」というダメ出しからなかなか抜け出せなかったです。劇場入ってから大幅にテンポ変更もありましたし、本番期間中も本番前のこの曲の練習は欠かせませんでした。

Q8: 共演者の方々や演出家の宮田さんについてなにか裏話があれば教えて下さい。

上記に出てない方をあげましょう。まず、私のメッキー、池内さん。本当に、こんなご活躍されてるのにも関わらず、こんな真面目な方は初めてみました。劇中では年の差のあるカップルですが、実年齢は近いので親しみやすく、素敵な方がパートナーで幸せでした。1幕はメッキーが相手役になりますが、2幕の相手役はルーシー役の大塚ちひろと言っても過言ではありません。彼女とは若かりし頃に、ドラマで共演して以来、舞台芝居で共演したことがなかったので、やっとの舞台初共演になりました。相手役と、しかも女優同士で、こんなにシーンを作るのに話し合えることはないのではというほど、いつも稽古場でも話し合って作ってきました。人になつっこい彼女だからこそ、言い合えた所もありますし、彼女と戦えて(役としてね)楽しかったです。歌穂さんはあんな素晴らしい逸材の方なのに、とても腰が低くすごく良い人でびっくり。一緒に共演させて頂くだけで恐れ多いのに、すごく優しくしていただいて、本当に嬉しかったです。絡みたかった。石井のかずさんは、面白い方で、人の話を聞くのが上手で、稽古場でも他の方の芝居を見て素直にケラケラ笑ったりと魅力溢れる方でした。演出家の宮田さんとは二度目のお仕事となりましたが、この人何者!?というほど、タフだし、可愛いし格好いいし、演じる事も音楽もわかって歌えるという、とてもすごい方です。と同時に厳しく、誰分け隔てなく、びしっと言います。ひえーって怖い時もあるけど、そういう所、大好きです。あとは、個人的仲良くしてたのは、スミス役の佐川くんはあの役と通ずるところあってとても優しいオーラの方で色んな事話しました。マサイヤス役の亀ちゃんは普段からひろい上手で、芝居でも安心してできる方。ジェイコブ役のはじめさんにはアイディアももらいました。などなど、みんなそれぞれ芝居もですがご本人自身も素敵な人柄でした。

Q9: 2回観に行きました。千秋楽で、ルーシーとのデュエットでオペラ調に歌う所、魔笛になっていましたが、あれは千秋楽スペシャルですか?あれは次のモーツァルトを意識してでしょうか。個人的にそう思ってとてもツボでした。

正解!そう!実はほんとシーン直前までどうしようかと思っていました。実はもともと、そこの部分だけオペラ調に歌うのは、最初からやっていて、演出家の宮田さんが、「そこどうせならメロ脱線してなんか歌ったら、なんでもいいんだけどモーツァルトとか」と言われていて、次の出演作が「モーツァルト!」だし、それ面白いなと思ったのです。オペラ歌手のロバート役の大森いちえいさんに聞いて他の色々な楽曲を提供して頂いたりもしましたが、結局あのメロディ(千秋楽以外)に落ち着いて。でも千秋楽だし、なにかと思った時に、モーツァルトの有名曲(たくさんの方がわかる)魔笛にしようと直前に決めました。気付いた方他にもいたかな?笑

Q10: 今回の舞台はアメリカ留学前の自分と留学後の自分と比較して何か大きく変化したものがありましたでしょうか?

性格。ほんと自分で自覚しているのはそれだけ。開幕直前のマスコミ記者会見でも言っていくつか記事になっていましたが、自由感を得たように感じます。あと、生きて行く強さもより強まった気がします。三文オペラの最後の総勢で歌う合唱の歌詞のように、現実ってほんとに厳しく冷たいことだらけだけど、それでも生きて行かねばならない強さとか、前をみて夢を捨てない強さとか。道徳までも持てなくなってしまうこの世の中の悲惨さを肯定するわけではないけど、そんな世の中に負けてしまわない強さが必要な環境にいると人間って変な細かいことを気にしなくなるんですよね。そういったものを経験したように思えます。真実は変わらないけど、それをどう見るかによって人間は変わるんです。世の中を変えるのはなかなか難しいことだけど、その世の中を作っている一部である自分を変えないと世の中も変わって行かないんですよね。広く見る事って大切よね。

みなさま、心から、ご観劇、応援、ありがとうございました。
7月中旬から稽古スタートしたので長かったのもあり、言い足りないほどエピソードなどまだいっぱいあるのですが、ま、これくらいにしておきましょう。皆様にとっても心に残る芝居だったことを願いつつ、私は次の作品へ移行します。
また全然違う現場で、役もまったく違うので、みなさまに楽しんでもらえるよう頑張って行きたいと思います!

次回出演作”モーツァルト!”ソニンオフィシャルチケット販売中
http://www.no9-act.com/actor/prof_sonim.html