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私の夢は、

いつか彼か私が
死んだとき、

それをお互いが
宿に来なかったことで
初めて知ることだ。


そこまで静かに
続けられれば、
それが一番いい。



足腰も丈夫で、
自分で移動ができて、
宿に通える老人に
なりたい。


そして、お互いの
どちらかが
来ることが出来なかったら


それはもう
死んだときだと悟って、

いつもふたりが
していたように
お風呂に入り、

食事をして、

いっしょに寝ていたようにそっと眠る。


それがお互いの
追悼であるような、

そんなつきあいを
続けたい。




word by
Banana Yoshimoto
『王国』