たいへんご無沙汰しております。断筆(したつもりではなかったのですが)してから早7ヶ月半、2012年初めてのブログになります。もう読者の方にもお読みいただけていないのではないかと思っております。。また細々と再開したいと思います。
さて、会社の勤続5年制度を活用して7月16日~23日まで北欧2カ国(ヘルシンキ・ストックホルム)に行ってきました。高福祉国家、幸せ度の高い国(ギャラップ調査)、高い学習到達度(PISA)、競争力ランキング上位、そして何より家具・建築・都市・IT・プロダクトデザインをはじめとした洗練されたシンプルなクリエイティブに溢れる北欧は、色々な課題に直面している日本と対比されてメディアにとりあげられる機会が多く、とても興味をそそられる地域だっただけに、このタイミングでその地を踏めたことは感慨深いものでした。
(ヘルシンキ中央駅)
うまく整理する自信がないですが、何度かに渡って北欧について書く予定です。
行き先を決めて偶然手にとった本。
レバレッジシリーズのベストセラーで広く知られることになった本田直之さんも、著書「LESS IS MORE」で、日本や欧米先進国に比べて物質的な豊かさはないはずの北欧諸国が、なぜ「幸福度ランキング」で上位を独占しているのか、という理由について、北欧で働く人々へのインタビューからその答えを明らかにしています。
インタビューの対象者である様々な職業に就いている20人以上への「何が欲しいですか?」の問いに対して、驚くべきことに「モノ」は一切出てくることはなく、「家族の健康」「友人や周りの人の成功」「もっと高い挑戦ができる機会」といった精神的なものばかりだったといいます。彼らは、物質的な豊かさより、もっと精神的な、経験的な豊かさに幸福を感じているのでした。文章で読むと、なるほどね、というレベルかもしれませんが、いざ自分が聞かれたとしたら、、、すごいことだと思います。
また、こんなギャラップの調査結果も。
「年収が2万5000ドル以上の人は、モノを買うよりも”経験”をした方が、幸福度は2倍も3倍も高くなる」
今は何でも揃ってる時代なので、贅沢さえしなければある程度の生活は送れます。それより今まで経験できなかった新しい体験(旅やアクティビティ)や刺激的な挑戦、仲間や家族とのふれあいに重きが置かれています。
何度も出てくる「幸福度」について。「自分が幸せと思うか」について、つい人は周りの人との比較で考えてしまうのだそうです。友だちが車を買った、家を買った、高級な服を着てる、などという感覚が日本にはまだ根強く残っている一方で、北欧は選択肢が少ないからシンプルに幸せに暮らしているとのこと。収入や資産がどれだけあるか、ではなく収入と支出のコントロールができ、欲しいものが買え、やりたいことができる「と思っている」ことそのものが重要なのだそうです。
これは、別記事で書くことになりますが、現在購読中の「選択の科学」に通ずるものがあります。仕事や生活に裁量権のない、コントロールできない、選択できない「と思っている」人ほど、ストレスを感じやすかったり体調を壊しやすいという実験結果も。
話は変わりますが、店や品物によって多少差はありましたが、フィンランドでは22%、スウェーデンでは12%の消費税がかかっていました。住民税や所得税なども含めた所得に占める国民の負担税率は60%を超えるのだそうです。旅行で1週間程度の滞在では、日本より少し物価が高いかな、というレベルだったのでそこまで衝撃は受けなかったのですが、現地に在住し、働き、生活するとなると日本と生活感がだいぶ違ってくるのだと思います。
その代り、大学院まで教育費は無料、同じく子どもの医療費は無料、失業給付金や再就職の支援、介護・福祉などとても充実しているのも事実。企業は短い労働時間での高い生産性を追求し、共働きの夫婦たちは街の至るところにある公園の遊具施設で子どもたちを遊ばせる光景がそこらじゅうに広がっていました。
(公園がいたる所に)
高福祉国家の良い点がメディアで誇張されているような節ももしかするとあるのかもしれませんが、少なくとも「高福祉」=「幸福」がリンクしているように感じられます。ただここまで綺麗事を言っておきながら、恥ずかしいことに、「いい家に住みたい」「格好いい車に乗りたい」「お洒落な服を着たい」と思っている卑しい自分もいます。(つづく)