歴史的に有名な経済学者、ケインズとハイエクの「世紀の対決」。2人が会議場でなんとラップで自らが主張する経済理論を論争を繰り広げるPVが話題になっています。第1ラウンドは大分前に出ていたようですが、今回第2ラウンドがリリースされたようで、Facebook上でも早くも大旋風。
第1ラウンドは遊び好きなケインズが夜の街にハイエクを誘い、なぜ好況不況のサイクルが存在し、そしてその原因が何なのかについて意見を戦わせます。公共投資・財政出動という強い薬(アルコール)漬けになったケインズは翌朝酷い2日酔いに悩まされることになります。
第2ラウンドでも舌戦が続きます。1929年の大恐慌を例に「政府による市場介入により状況は好転した、故障してしまったエンジンに点火する役割を政府は果たすべきなのだ」と主張するケインズに対し、ハイエクは「失業者はどうなる?戦争特需を起こしても、全員が軍人ではない。他の産業従事者は路頭に迷うことになる。そして待っているのは破壊と失業とインフレーションだ」と切り返します。
音楽・歌詞・映像すべてハイクオリティ!
製作した「Econstories.tv」は、TVプロデューサー・映画監督のJohn Papolaと、経済学者のRuss Robertsのコンビなんだそうです。
ハイエクについては恥ずかしいことに知らなかったのでWeb上の各書評やブログを大急ぎで勉強したところ、当時の大恐慌時には「市場の介入をすべきではない」と唱えたハイエクが直接的な景気対策を打ち出せなかったため、論争はいったんケインズの勝利に終わりましたが、近年ではハイエクの「コーディネーション」に関する主張が再び注目されているとのことです。
それは、「不況の原因は集計的な過少消費ではなく、個々の市場の機能不全。(日本の)労働生産性が低下している最大の要因は、衰退産業で長期雇用による労働保蔵が行われ、生産性の高い産業に労働人口が移動しないことだ」というものです。的を射ていますね。数十年も昔になされた主張とは思えません。
経済学、こうやって勉強してみると面白いですね。