逆イールド~嫌な予感[No.270] | 起業して不安はあるもののワクワクしている50歳・IT技術者・中小企業診断士のブログ

 短期の金利が長期のそれよりも高くなる逆イールドという現象がこのところ発生しています。例えば先日、アメリカ国債の10年物利回りが3カ月物利回りを10年ぶりに下回りました。10年物を買うなんてバカバカしいですよね。半日を費やし精魂入れて作ったにもかかわらずお湯入れて3分のカップラーメンにかなわない・・・残念な開店に向けた勝負ラーメンみたいに。どうしてこんなことになってしまうかというと、今はまだ平気だけど、将来はヤバくなりそうだ、ということで今後は徐々に金利が下がっていくだろう・・・と考える人が多くなっているからです。そんなことで、標題の「逆イールド」はこれから景気が悪化するシグナルだと言われています。

 

 今年は過去10年で最悪だ。だが、今後、10年で最高の年になるだろう。

 

 最近の新聞に載っていた言葉です。上手い表現だな!と思ったのと同時に、気分を暗くする嫌な表現だなと・・・アンビバレントを感じてしまいました。

 

 こういう話を見聞きすると悲観に振れ過ぎるといいますか、どこまでもどこまでも下がるばかりのような感覚に襲われます。良いことも悪いことも交互といいますか、グルグル廻る、もしくは折れ線グラフのギザギザみたいに考えないとフェアではありません。さらには短期間では上がったり下がったりなギザギザがありながら、長期でみると総じて右肩上がりで上昇していく、そういう心持ちでいたいと思っています。

 

 私は最近やりませんが、麻雀が大好きです。麻雀をやっていて気づかされたのが運気の波です。私は霊的なことは全く信じませんが、麻雀をやっていますと運気の波の存在を感じずにはいられません。でその運気は、自分が気を抜いたり、凡ミスをすると後退してしまいますし、逆にきっちりとした判断が継続できているとだんだんと上がってきます。ですので今はツイテないと感じた時は無理な勝負は避け不要な失点をしないように守りを固めます。我慢していればそのうちツキが回ってきて、その時に勝負すれば良いわけですので。

 

待て、そして希望せよ 

モンテ・クリスト伯 より

 

Tomorrow is another day

風と共に去りぬ より

 

 麻雀の強さは客観的に今の自分の運気と相手との点差をわきまえた上で、それに見合った選択ができることだと考えています。私は晴耕雨読という言葉が大好きです。その場その場の状況にあった適切を継続する素敵を感じるからです。雨の日に耕すような過ちを犯さないようにしたいものです。そのために自分の置かれている状況を正しく把握することが大切だと考えています。

 似たようなことで、若い時と年を重ねた今では生き方(戦い方)が違うということがあります。若い頃は、兎に角、何でも気合いで乗り越えられる、そんな戦時中の兵隊のようなノリでした。今の働き方改革がメルヘンのように過去の突撃が思い出されます。ただ、今は若い頃のような体力がありませんので、1日でも徹夜をするとそれ以降の数日は生産性が極度に落ちてしまいます。

 

 生産性の話をする時によく引用される、ある木こりの斧の錆びが酷くなるにつれて木を切り倒すスピードが遅くなってきたところ、通りがかりの人に「斧を研いだらどうだ?」と言われ、木こりは「そんな時間はないんだ、俺は木を切るのに忙しいんだ」とひたすら斧を振り続ける木こりのジレンマの話があります。

 

 笑ってしまうような話ですが、日本の生産性が先進国の中で最悪なことの要因の多くにこのような仕掛けが潜んでいるように思えてなりません。遂行だけが重要視され、遂行による効果はどうでも良い、私はそんな滅私奉公な雰囲気を感じていたことが少なくありません。でもそれを声に出せない、だって上司に睨まれたくない、だから夜遅くまで奉公に勤しむ、そんなで夫婦共働きでの子育ては難しいから子供は作れない、だから少子高齢化で、税金、年金が高くなって・・・完全な負のスパイラルです。一度、手を止めて、今後のために斧を研ぐ勇気を持ち続けたいと思っています。

 

効果の8割は遂行の2割によってもたらされる

パレートの法則

 

 私は若い頃の「突撃」の全てを否定するわけではありません。知識や技術、人との関わり方、さらには達成の喜びといった宝物は、そんな無茶によって得られたものです。しかし、無理の効かない年齢に差し掛かり、しっかり眠って、家族との会話を楽しんで、仕事とは別の興味を大切にして、自分を整えることは「突撃」よりも良い成果を今の自分にもたらしています。さらに仕事の内容が必ずしも時間をかけたからといって成果につながらない発想やひらめきといった要素が重視されるようになってきたことも「突撃」は今の自分にフィットしない大きな要因です。ストレートで押してきたものの球速の衰えとともに配球や間合いといった駆け引きによって若い頃を凌ぐ成績を残す技巧派投手のように。

 

 問題解決力や集中力は40代、新しい情報を学び理解する能力は50歳前後、さらに語彙力にいたっては60代後半にピークを迎えるようです。だから40代は下降線の始まりなんかではなく、でこぼこしながらも、長い緩やかな上昇のきっかけなんだと私は考えるようにしています。カナダのシンガー・ソングライター、ジョニ・ミッチェルは「ビッグ・イエロー・タクシー」でこう歌っています。「いつもそうじゃない?手にしているものに気付かない。失ってしまうまではね。」死んでしまうまでは自分の可能性を大切にし、イールド(産出)し続けられる自分でありたいです。

 

もうはまだなり

 

rolling stones チャンスはこれからだ