所得の課税?非課税?


わたしは仕事柄、さまざまなパーティーや会合に顔を出すことが多いのですが、先日は会合でお会いした女性からご連絡があり、「お金のおはなし」について面談をお願いされました。

当日は、弊社・南青山の応接に来ていただきました。

一度だけお会いした方でしたので、正直お顔が思い出せません。

最近めっきり記憶力が落ちていることを反省し、しかしこういった問い合わせが増えていることに感謝しております。

彼女の趣旨は「「お金についての知識」で、ひとはちょっぴり幸せを掴むこともあるし、その逆もありますよね。」ということでセミナーを開催したいようです。

彼女のビジネスは置いておいて、この考えは大いに賛同します。

「それでは、みなさんにお話しするのは身近な所得税についてはどうでしょう?実は所得税には税金のかからない非課税の所得が定められているのです。」

なんとも興味津々な顔をしています。

所得税には各種の非課税の所得が定められていますが、大きく分けると次の2種類に分類できます。


①ある特定の者に帰属する所得をすべて非課税にする、いわゆる人的非課税

②所得者に関係なく特定の内容の所得を非課税にする物的非課税


非課税所得という考え方は古くからあり、歴史的に見ると国王・貴族・僧侶といった特定の階級の人が免税になる人的非課税がありましたし、日本でもかつては、天皇・皇族などは原則として人的非課税ということになっていました。もちろん現在は皇室といえども一般的には納税義務があり、一部の皇室財産を相続税の対象から除くなどの非課税の規定が残っているだけです。

たとえば、ノーベル賞のノーベル基金からもらう金品は物的非課税ということになり、文化振興を目的とする文化功労者年金などもこれにあたります。

それと、一口に非課税の所得といっても、その性格は様々で、政策上認められているものから少額の所得を非課税にすることで税務を簡素化することを目的にしているものまで各種各様といえます。


よく勉強しておきたい身近な「非課税所得」

その他、身近なところで定められている非課税所得について少しふれておきましょう。やはりサラリーマンに代表される給与所得者に関する非課税措置が一番多いようです。

旅費通勤費・宿日直科・結婚祝金等‥水年勤続者の記念品などは、普段から非課税が当然のものとして扱われていますが、実際にはすべて税法に定められています。

二重課税を避けるための非課税というものもあります。例えば、相続・贈与によって取得したものについては相続税や贈与税の課税を受けることになっていますので、さらに所得税の課税を受けるということになると二重課税になってしまいます。そこで、所得税では非課税ということになっています。

担税力(租税を負担する能力)がないという理由で非課税になっているものもポピュラーです。学資金や家族を扶養するための金品や人身事故に対する損害賠償金などがそれにあたります。

 普段疑問にも思わないことについて、調べてみるということは本当の自分のチカラになります。何気ない新聞記事についても、目を留めて考えてみることが必要なのかもしれません。

 さて、談笑の中で彼女が大好きなのは、アテネオリンピックの金メダリスト鈴木桂治さんだそうです。ちなみに、オリンピックで1位から3位になった人が日本オリンピック委員会から支給される金品も非課税になっています。

聡明な彼女の今後のビジネスのご活躍を願ってやみません。

リスクマネジメントブログ 本間洋一


日本一わかりやすいフリーのための確定申告ガイド―「白色」「青色」両対応!!/山岡 大祐
¥1,470
Amazon.co.jp


税金バンザイ! 「税金」&「税務調査」の裏ワザ!/小堺 桂悦郎
¥1,470
Amazon.co.jp

【この本は私の所属する青山総合研究所から】

すぐに役立つ土地建物の税金と活用法実践マニュアル

¥1,600
株式会社 ビーケーワン