東芙美子「小説 昭和元禄落語心中」 | ソンブーンのブログ

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2026年6月11日(木)

 

某小説雑誌に掲載された料理家「山脇りこ」の落語愛たっぷりのエッセイを読んだのですが、その中に本作が紹介されていました。原作は雲田はるこの同名漫画です。僕も新宿末広亭には何度も足を運んだことがあるので、寄席の雰囲気は良く理解しています。

 

本作品には落語愛に溢れた登場人物達に焦点を当てた落語馬鹿の物語です。落語に人生を捧げた者達の潔さと哀しさに溢れた内容は痛快さを感じました。リズム感のある文章を読み易い。

 

2018年10月、講談社文庫。265ページ。

 

作品紹介(講談社のサイトより)

昭和初期、落語の世界に入った八雲は、同期入門の落語の天才・助六と、固い友情で結ばれる。八雲は助六の芸に憧れ、嫉妬し、追いつこうともがき、芸者・みよ吉にも支えられ、成長していく。やがて、助六とみよ吉とが結ばれるが、ふたりは謎に満ちた事故死を遂げてしまう。八雲はその死を巡る秘密を抱いたまま、ふたりの遺児・小夏を引き取る。小夏は、成長し、やがて天衣無縫な八雲の弟子・与太郎とともに、両親の死の真相に迫る。

 

ストーリー(ウィキペディアより)

戦前からバブル以降まで、細やかな表現を特徴とする孤独・孤高な男と、対照的な立場・才能の持ち主とが同門で出会い、落語の将来不安とそれぞれの芸を追求する流れの中で、同門関係・色街と男女・疑似家族・ファンなどが絡まりながら、男達の話芸・落語への存在のかけ方が描かれる。

話は江戸落語界で昭和後期の名人と弟子の出会いに始まり、名人の孤独の形成される過去話となる戦前から戦後に飛び、再び昭和に戻ってバブル前後から、明白となった落語衰退時期へとつながり、名人の孤独・孤高な芸風と生き方と落語界の衰退とがより強く関わり合う。

与太郎放浪篇
単行本第1巻から第2巻に収録。舞台は昭和50年代頃。落語が絶頂期を過ぎ、テレビや漫才ブームに圧されていた時代。
刑務所帰りの元チンピラ・強次は、1年前に慰問で訪れた八代目有楽亭八雲演じる落語『死神』を聞いて感動し、出所後そのまま八雲が出演している寄席に押しかけて弟子入りを申し出る。それまで「弟子は取らない」と言ってきた八雲だが、彼なりの考えで強次は付き人として行動を共にすることを許され、与太郎の名を与えられる。
八雲の家に住み込むことになった与太郎は、八雲の養女・小夏と出会い、彼女の実父で早逝した天才落語家・二代目有楽亭助六の芸風を気に入り、自らの芸に取り入れ精進するが、同時に助六の死と八雲、小夏にまつわる因縁の一端を徐々に知ることとなる。
ある日与太郎は、八雲の独演会で助六の落語をした上に練習不足から前座にもかかわらず舞台を冷めさせてしまう。さらに舞台の袖で居眠りしてしまい、激怒した八雲に破門されてしまう。雪の積もる夜、小夏立ち合いの下で必死に復帰を願い出る与太郎に対し、八雲は「破門しない代わりに3つの約束を守ること」を彼に命じ、自身と助六についての長い昔語りを始めた。
八雲と助六篇
単行本第2巻から第5巻に収録。舞台は太平洋戦争前から、昭和30年代頃の「落語黄金期」まで。
望まぬ落語界への入門を強いられ、また落語が上達しないことに日々苦悩し続けていた若き日の八雲・菊比古と、天才肌で華のある落語家としてめきめきと人気・実力をつけてゆく初太郎改め二代目有楽亭助六。繊細で陰のある菊比古に対し、粗暴で明朗快活な助六という対照的な性格ながら、同い年で同じ日に師匠・七代目有楽亭八雲門下に入り、共に黄金期の落語界を支えた2人の青春模様と因縁、みよ吉と助六の最期の真相が明らかにされる。
助六再び篇
単行本第5巻以降に収録。舞台は昭和末期から平成初期頃。バブル景気およびその崩壊直後。
落語人気が完全に下火となり、都内に寄席が1軒だけになり落語の話題と言えばかつての名人の訃報ぐらいしかなかったこの時期、芸を磨いた与太郎は真打に昇進し、小夏の実父の名跡を継いで三代目助六を名乗ることに。その頃小夏は未婚者で妊娠し、見かねた助六から夫婦になろうと迫られる。戸惑う小夏に対し、助六は天涯孤独の身の上から「家族」への強いあこがれを口にする。
一方、過去の因縁と迫り来る老いと1人孤独に葛藤していた八雲を病魔が襲う。小夏の息子・信之助の誕生、落語保存の活動を始めた作家・樋口の出現など、否応なく進んでゆく時代の流れに巻き込まれながら変化してゆく八雲、助六、小夏の人生と、八雲が一度は自らと共に葬り去ろうとした「落語」の行く末が描かれる。