2023年9月27日(水)
第68回日本推理作家協会賞受賞。作品の構成に工夫を感じました。元交際相手の妻と2児を焼死させたという事由で死刑宣告された若い女。作品では彼女に自分の事を語らせず、彼女の子供時代、中学生時代、成人してからの彼女の知人に彼女の事を語らせることで、彼女の人となりを浮き彫りにするという展開です。
作品を読み終えて、社会には善人も悪人も存在するということを改めて感じました。ひ弱な彼女を利用し、踏みつけにして、見捨てる人がいる一方、彼女を何とか助けようと奮闘する人がいる。そういう人がいることが救いですね。
平成29年3月、新潮文庫。467ページ。
作品紹介(新潮社のサイトより)
田中幸乃、30歳。元恋人の家に放火して妻と1歳の双子を殺めた罪で、彼女は死刑を宣告された。凶行の背景に何があったのか。産科医、義姉、中学時代の親友、元恋人の友人、刑務官ら彼女の人生に関わった人々の追想から浮かび上がる世論の虚妄、そしてあまりにも哀しい真実。幼なじみの弁護士たちが再審を求めて奔走するが、彼女は……筆舌に尽くせぬ孤独を描き抜いた慟哭の長篇ミステリー。