2020年9月26日(土)
某小説雑誌でコラムニストが激賞していたので、興味を持ちました。
1980年代前半に豊田商事という会社が主に高齢者をターゲットにして金の地金への投資を勧誘し、実際には金の保管は難しいので、保管の証明に預かり証を顧客に渡し、顧客のお金は金投資ではなく、豊田商事が流用するという悪徳商法を使った組織的詐欺事件が発生したことは皆さんの記憶にあることと思います。
本作品では、この豊田商事(作品では横田商事としています)の生き残りである主人公が家族の生活を守る為に次々と詐欺スキームを考案していきます。ガムシャラに働いた主人公に妻も娘も感謝もなく、冷ややかに接しているのを見ると、主人公でなくとも「何の為の苦労だったのか?」と思ってしまいます。日本だけでなく、世界中で詐欺事件が発生しています。人々の油断を虎視眈々と狙っているのです。怖いですね。
2019年8月、新潮社発行。504ページ。
作品紹介(新潮社のサイトより)
戦後最大かつ現代の詐欺のルーツとされる横田商事事件。その残党たる隠岐は、かつての同僚の因幡に導かれるがまま〈ビジネス〉を再興。次第に詐欺の魅力に取り憑かれていくが――。欺す者と欺される者、謀略と暴力の坩堝の果てに待ち受ける運命とは。透徹した眼差しで現代の日本を、そして人間の業と欲を徹底的に描破する。