須賀しのぶ「革命前夜」 読了 | ソンブーンのブログ

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5月4日(水)


本作品は、評論家の記事を小説雑誌で読み、興味を持ち、読み始めた。とても読み応えのある小説でした。


作品の舞台は、ベルリンの壁崩壊前の東ドイツ・ドレスデン。主人公は、ピアノ専攻の日本人留学生。


自由のない息苦しさ。物資の不十分な窮乏生活。共産主義政権の維持の為の密告制度。秘密警察の存在。・・・東欧の共産主義諸国が、政治的に行き詰まり、崩壊していく様子が良く描かれています。題名の通り、ベルリンの壁崩壊前の東ドイツの緊迫感をベースにした、ミステリーと恋愛・人生まで描いた作品です。


本作品において、東ドイツのおかれた政治的環境が強いスパイスになっているのですが、クラシック音楽好きには堪らないバッハの作品が随所に顔を出します。


一方で、主人公の前に登場する金髪の美人オルガニストとの恋、周りとの軋轢も気にしないハンガリー人の天才バイオリニスト等キャクターの強い登場人物が小説の奥行を深めていました。作品の後半のミステリーのような謎解き(真実)はとても鮮やかでした。


文芸春秋社発行。402ページ。


作品紹介(文芸春秋社のサイトより)

1989年、日本の喧騒を逃れ、ピアノに打ち込むために東ドイツに渡った眞山柊史。
彼が留学したドレスデンの音楽大学には、
学内の誰もが認める二人の天才ヴァイオリニストがいた。

正確な解釈でどんな難曲でもやすやすと手なづける、イェンツ・シュトライヒ。
奔放な演奏で、圧倒的な個性を見せつけるヴェンツェル・ラカトシュ。
ヴェンツェルに見込まれ、学内の演奏会で彼の伴奏をすることになった眞山は、
気まぐれで激しい気性をもつ彼に引きずり回されながらも、彼の音に魅せられていく。

冷戦下の東ドイツを舞台に、一人の音楽家の成長を描いた、
著者渾身の歴史エンターテイメント。