昨年の夏に新宿のマンションから飛び降り自殺した藤圭子を、1979年秋にホテルニューオータニ40階のバーでお酒を飲みながら、沢木耕太郎がインタビューした内容を一冊の本にしたもの。1969年から約10年、日本の演歌のスターとして君臨。宇多田ヒカルの母親。
ほとんど初対面の人から、藤圭子が隠しておきたい家族の恥部まで話させたのは、お酒の力もあっただろうが、沢木耕太郎の力量だろうと思う。
家族の恥部とは、彼女の父親のこと。この父親は、酒によって、虫の居所が悪いと、理由もなく、目の見えない奥さんとまだ幼い子供たちを殴る・蹴るという虐待を繰り返していたということです。又、寒い北海道で冬に子供達に水をかけるというようなことも繰り返していたようです。藤圭子が歌手として成功すると、彼女に金の無心を繰り返し、彼女にたかるハイエナのようだったとのことです。
子供時代の貧乏とこの父親。彼女の歌っている姿に、何とも言えず、寂しさが漂っていたのは、こういう背景があったのか、と今更に謎がとけたような気がします。
30年以上前に行ったインタビューを本にしなかったのは、沢木耕太郎の心配り。出版されて、文字になってしまうと、インタビューの中で彼女が話したことがその後の人生の足かせになるのは良くないという配慮からだっと。藤圭子が生きている間は、本にするつもりはなかったとのこと。
本のタイトルである、流星ひとつというのも、実にいいネーミングだと本を読み終えて実感する。