IDESコラム vol. 9
 災害は忘れた頃にやってくるという言葉がありますが、身近で物事が起こ
らなければ、気づかないうちに他人事になってしまことは、私も含めて、よ
くあることではないでしょうか。

 感染症については、私たちは、国民の皆様に情報発信などを通して、感染
症が皆様自身の問題であると意識にとどめてもらうために、twitter、
facebook、このメルマガなど様々な方法で情報発信をしています。海外でも
工夫を凝らした啓発がされています。
 
 米国疾病予防管理センター(CDC)は、2011年から、万が一ゾンビが発生し
たと仮定して、国民の防災に対する意識を高めようとする普及啓発活動を続
けています。ゾンビ・アポカリプス(ゾンビ襲来による世の終わり)を生き
残るためにはなにを準備しておく必要があるかシミュレーションすることで
普段から災害が起きたときになにが必要かを啓発するものです。
水、食料、懐中電灯、救急箱、避難経路の確認といったことをWEBサイト、漫
画などの様々なルーツを用いて、説明しています。

  ゾンビ好きな人は世界中にいるでしょう。
皆様も「もしゾンビが襲ってきたら」そんなことを映画やゲームなどの後に
思ったことは一度はあるのではないでしょうか?
 一度は想像したことがあるリアルなゾンビを使うことで、お固くなってし
まいがちな啓発内容を身近に感じてもらい、より多くの層に関心を持っても
らうことにつながったそうです。例えばこのキャンペーンでは、中学生向け
の教育ツールを提供していますが、単に「防災について勉強しよう」という
よりも、「ゾンビがきたらどうする?」と問いかけた方が、生徒は関心をも
ち、より能動的に考えることにつながるのではないでしょうか。
 
 厚生労働省も、AMR臨床リファレンスセンターとともに、抗菌薬が効かなく
なる薬剤耐性(AMR)についての啓発をするために「機動戦士ガンダム」とコ
ラボレーションしました。約40年にわたる長寿コンテンツですので「ガンダム」
の名を耳にした人は少なくないのではないでしょうか。
 コラボレーションをするメリットとして、各キャラクターが持つ訴求力を
もって、強力に、伝えるべきメッセージを伝えるべきターゲットに届きやす
くなるという点です。
 
 災害は忘れた頃にやってくる・・・
 私たちは、感染症に無関心であったり、感染症をしらない方々に、感染症
に興味をもってもらうために情報発信をしています。
 ですが、どんなに情報発信をしても、皆様に行動を変えていただけなけれ
ば意味がありません。そのためにも、まずは、皆様には、家族、友人や職場
で話題にあげていただきたいと思います。それが、感染症が身近な存在にな
る第一歩であり、「みんなにもできること」でもあります。
 
 <CDC Zombie Preparedness>
<薬剤耐性(AMR)対策の啓発に『機動戦士ガンダム』を起用>
<薬剤耐性(AMR)対策について>
<AMR臨床リファレンスセンター>

※当コラムの見解は執筆者の個人的な意見であり、厚生労働省の見解を示す
 ものではありません。
※IDES(Infectious Disease Emergency Specialist)は、厚生労働省で2年
 前の平成27年度からはじまったプログラムの中で養成される「感染症危機
 管理専門家」のことをいいます。