新型インフルエンザ特措法改正案の採決を前に討論が行われた参院本会議(21日)


感染症発生時に司令塔機能を担う「内閣感染症危機管理統括庁」の創設を盛り込んだ改正法が21日の参院本会議で可決、成立した。今秋をめどに施行する。新型コロナウイルス禍で初動対応が遅れた経験から、次の感染症拡大に備えた体制強化をねらう。

新型インフルエンザ等対策特別措置法と内閣法の改正となる。

危機管理統括庁は内閣官房に設置する。同庁トップの「内閣感染症危機管理監」には内閣官房副長官の一人を充てる。次長級の「内閣感染症危機管理対策官」は厚生労働省の医務技監が兼務する。専従職員は平時に38人、有事に101人となる。感染症対応の司令塔として、対策立案や政府対策本部の運営、関係省庁の業務の調整などを担う。

改正法では、感染症まん延時に首相がより迅速に各省庁や都道府県知事に「指示権」を発動できるようにする。従来は緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の期間に限っていた。コロナ禍初期に国と自治体で調整が難航し、医療体制の確保や感染対策に遅れが生じたことを踏まえた。

都道府県知事が飲食店など事業者への営業自粛を求めやすくもする。要請の法令上の根拠を明確化し、実効性を高める。

感染症の拡大で地方公共団体の業務に支障が出ている場合には、国が仕事を代行しやすくする。代行できる事務の範囲や期間を拡大する。