『イギリスはおいしい』 | いつかまたラオスで

いつかまたラオスで

親兄弟、友人にも話せない悩みを抱えつつ、いつかまたラオスで夫と暮らそうと考えていますが…。夫と話してみて夫を信じる自分がいたので、そんな自分を信じてみようと思ったから。

 林望著『イギリスはおいしい』を読んでいて、20年前に出会ったイギリス人を思い出した。
 シーパンドンはラオス南部の、メコン川にかかる滝で有名なところ。でも20年前は『地球の歩き方』のラオス編もまだなく、現地にもツアーを扱う旅行社はなかった。だから滝を見るためには、現地のボートを出してくれるラオス人に個人で交渉する。夫と二人で一艘では高く付くので、イギリス人旅行者とシェアすることになった。
 翌朝、私は、のんびり仕度している夫を急かして時間通りに待ち合わせ場所に行った。イギリス人は来ていなかった。なかなか来ないので彼のゲストハウスまで行った。当時はスマホなど無い。
 彼は朝食中だった。寝起きの寝ぼけた顔で朝食をのんびり続けた。夫は「だから言ったでしょ。時間にうるさいのは日本人だけ」
 ラオスを旅行中、ラオス人民共和国(LAOPDR)はラオスはplease don't lushの国という意味だ、という自虐ネタを何度も聞いたし、実際、バスも洗濯屋も翻訳会社も、時間とか期限とか、約束は守られたことはない。
  でも先進国欧州人は違うと思っていた。そんなことがあっても、ラオスに来ているバックパッカーだから、ラオス時間の染まっているんだと今日まで思っていた。
 でも、この本で書かれたイギリス。30年前かもしれないけど、イギリス人は「鉄道は定刻に発車しない」という「信念」に基づいて行動している。実際に、出発の定刻過ぎても運転士はのんびり談笑しながらお茶している。乗客は「指定券なしに指定席に座ると罰金」と書いてあるのに、みんな勝手に指定席に座っている。著者が驚いていると友人は「誰も(見回りになんか)来やしない。イギリス人は誰もこんな貼り紙なんか信じていない」実際に、誰も来ないし誰も罰金を取られていなかった。
 著者の若い頃の話かもしれないけど日本では、見回りに来ないとか、定刻過ぎて運転士が客の前でお茶してるなんて何十年前だろうと考えられない。 
  今さらだけど、日本の常識が世界の常識とは限らないということかと。
 気が合うのはドイツ人だけかも。