『ねぇ…どうしたの…?』
「はい?」
『ヨリヌナ、変じゃない?
元気が無いって言うか…無理してるって言うか…』
「そうですか?別にいつもと変わってないんじゃないですか?」
『うーん…』
“はぁ・・・”
ほら、何度目の溜め息だろう…
スマホを眺めては、何度も繰り返し
小さな溜め息をつく
台本の隙間から、そっと見つめる
そんな僕に、いつもなら直ぐに気づく鋭いヌナのくせに、今夜は自分の事で一杯みたい…
“はぁ・・・”
そして、また…溜め息をついた…
『ヌ~ナ^^
もうこれで終わり?』
「えっ…?」
『だから、この後の予定って…ある?』
「…リョウク…どうしたの…?」
『うーん…少し飲みたいかなぁ~って』
「…だから?」
『うん、ヌナ付き合ってよ~』
思いきってヌナを誘ってみる
スマホを見つめて…
スゴく迷ってる様子
『ねぇ~ヌナ、たまには僕のワガママに付き合ってよ~』
ちょっと強引に…
思いっきり甘えて…
今夜はヌナと居たかった
だって、そんな瞳のヌナを
ひとりの部屋に帰したくなかったんだ
『ねぇ、ヌナ…
何かあった?』
「えっ?何が?」
『うーん…何となくヌナの様子が心配で…』
「…な、んでも…ないから…」
『ホントに?』
「・・・」
グラスを両手で包み込むように見つめてる
そんなヌナを、僕はわざと上目使いに下から覗きこんだ…
その瞳がユラユラと揺れると
ヌナは一筋の涙を
溢した…
『ヌナ…』
「…な、なんでも…」
慌てて涙を隠すヌナ…
そのあとの言葉なんて聞きたくなかった
なんでもない風に
そっと抱き寄せてハグをする
「…ち、ちょっと…な、何…?」
『うぅん?
ヌナでエネルギー補充してるの^^』
そんなの大嘘!!
ただ、ヌナの心の闇を
僕が少しでも光で照らしてあげたかったから…
「リョウク…離して…」
『えー?なんで?』
「あなたは…スジュだよ…
こんなの誰かに見られたら…
誤解されるでしょ…」
『誤解、されたってかまわない
って、言ったら…どうする?』
「…止めて…
そう言うジョーク…笑えない…」
『なんでさ!?』
「ペンが悲しむでしょ…
よりによって、こんなアジュンマと噂がたったら…」
『誰がアジュンマなの?』
拒むヌナの腕を、力を強めて抱きしめる
ふと…
拒否する力が弱まったかと思ったら
「…ぅ…ぁん………」
まるで、小さな幼子の様に
ヌナは泣きじゃくった
「…ミアネ…」
『うん…落ち着いた?』
「…うん…」
『何があったの?なんて僕は聞かない…
でもさぁ、ヌナを大切に想ってる人間が居るって覚えててね…』
「リョウク…コマウォ…」
ホントは、無理矢理にも聞き出したかった…
“ヌナの心を悲しませているのは、誰?
あの人なんじゃないの?”
喉まで出かかった言葉を、急いで飲み込む
その言葉を言ってしまったら
ヌナはもっと苦しむのかも…
そう思ったら…
僕は何も言えなくて
“何も聞かない”
なんて、カッコつけた言葉しか言えなかった…
でも、それからのヌナは
優しい微笑みでいつも居てくれた
それが僕の想いを受け入れてくれたってことにはならないだろうけど
ヌナが笑ってくれている
ただそれだけで
僕は嬉しかった