年代別性欲論 | 牧童の溜息

年代別性欲論

「散りてなお天を突き刺す冬木立」牧童

晴天を突き刺すような冬木立が僕は好きだ。老いてなお、やせ衰えてもなお、凛々しく立っている姿を見上げながら、老いてもかくありたいと思う。

以前、男は偶数、女は奇数の年代になると性欲が強まるらしいという説を紹介したが、面白いと僕は思う。
このような説に対し、個人差があるから無意味だとの反対意見を言う人がいる。血液型判断などにも同様に非難する人がいるが、それは愚かだ。血液型判断を楽しんでいる人たちも、B型すべての人間が同じだなどとは思ってはいない。
まして性欲は年齢差というよりも個人差が激しい。50代でも20代並みの性欲がある人もいれば、全く性欲がない人もいる。
個人差があるということは百も承知の上で、グルーピングし、特徴や他との違いを考察していくことによって、個を考える上でのヒントになるのだ。

性欲に10年周期があると聞いた時、ヘーゲルの弁証法が思い浮かんできた。思い浮かんだと言っても、ヘーゲルなど読んだこともないのだが、ヘーゲル弁証法の基本概念のひとつである《止揚》(アウフヘーベン)を思い出した。
止揚は、あるものを否定しつつも、より高次の統一の段階で生かして保存することを指す。《正・反・合》の流れになる。まず正論を述べ、次に反論を述べる。正論・反論を合わせてて結論を出す。文章の構成でも使われるやり方だ。

性欲旺盛な10年間がある。次の10年は、前の10年と比較することで、もう自分は若くないと否定的になる。次の10年は逆にまだまだ若い、まだやれると肯定的になる。
しかし20年前の性欲よりは確実に衰えているのだが、正・反・合の止揚によって、人間味、経験などが加わり、20年前よりも高品質の性欲になってくるのだ。

◎10代
◆男・弱~身体が男になっても、あれ射精しちゃったくらいで、まだ自分の性欲を認識、把握できない年代。
◇女・強~女のほうが早熟。初潮、春の目覚めとともに性欲を自覚する。

◎20代
◆男・強~セックスの楽しさを覚え、射精しても、出しても出しても、またしたくなる。
◇女・弱~快楽のセックスから、出産、育児重視に心身が変わっていく。若かった自分と比較することで、衰えに対する自己認識が高まり、性欲が落込んでいく。25歳はお肌の曲がり角、もう若くはない、昔はよく遊んだなどと懐古する。

◎30代
◆男・弱~疲れている奴が多い。年齢的にも衰えてくるが、それに仕事や家族の重責が加わるし、酒などの付き合いは逆に多くなる。妻の魅力もなくなる。性欲が衰えていく。20代の自分と比較してしまうから、さらに落込んでいく。
◇女・強~育児にもなれ、妊娠目的から快楽のセックスへと変わり、欲望が強くなる。出産のご褒美として中で逝けるようになる。

◎40代
◆男・強~仕事や生活にゆとりが生まれ、まだまだいけそうだと元気になっていく。馬鹿な遊び方は少なくなるが、心身安定し、女の扱いもうまくなり、性欲は高まる。
◇女・弱~更年期障害などによる心身不調、老化により性欲が衰えてくる。

◎50代
◆男・弱~仕事内容が変化してくるし、体力的な老化、ストレスなどでセックスが面倒になってくる。燃える相手にも恵まれにくくなる。
◇女・強~とにかくすごい!なぜだか元気だ。更年期障害を乗り越え、生理が終わっても性欲は高まる。僕は最後のあがきだと思っている。この時期にセックスライフを謳歌し、きれいに燃焼できれば若さと色気を保てる。

◎60代
◆男・強~定年後の第二の人生を性的に楽しむ。不能にもなれて落ち込まなくなる。
◇女・弱~急速に老化。見た目も老婆に。

女の70代、男の80代は性欲が強くなるらしい。ここらは僕はまだ未知の世界だが、これは老化で理性や羞恥心が衰えることにより、本能的性欲が暴れ出すのではないかと思う。