乳癌告知 | 牧童の溜息

乳癌告知

「リストラをされて首巻くマフラかな」牧童

金銭的に貧しいと言われるより、心が貧しい人だなと言われてしまうほうが辛い。
金も心も貧しいのは事実だけどね。

《若い時の貧乏はよい。働く原動力になる。だが老いて貧しいのは良くない。なぜなら、それがその人が生きて来た結果だからだ》という教えがユダヤにあるらしい。

60年の人生の結果がこれなんだよね。

《心貧しきものは幸いなり。天国は汝のものなり》と言われても、天国より温泉のほうがいい。
と思ったら、急に髪を短く切りたくなった。
散髪したら首筋が寒くて、800円でマフラを買った。安物のマフラでも暖かい。

と思ったら、《乳癌になった!》というタイトルのメールが飛び込んできた。
あわてて読むと、彼女が飼っていたモルモットが乳癌だと診断され、手術するよう獣医から言われたそうだ。しかもオスなのに…
死んだ餌ばかり食っている僕らも、いつかは乳癌になるのだろう。

「手術するの?」
「迷っているの」
「本人に告知したの?」
「相変わらず、あんたって馬鹿だね~今は薬飲ませているんだけど、嫌がって飲まないのよ」

その後、モルモットは口に入れられた薬を見事に吐き出す術をマスターし、薬を飲まなくなったら食欲が出て来てよく食べるそうだ。

モルモットよ、君はえらい!

心貧しきものよ。汝は幸いなり。

癌と告知されても死を恐れず、薬など飲まずに死ねるだろう。天国もしくは地獄への特急券は汝のものなり。

これから先の人生のこと、考えて考えて考え続けていると、頭が痛くなり、いつの間にか寝てしまう。朝、起きると何も覚えていない。そんな毎日。