濡れた寝具 | 牧童の溜息

濡れた寝具

♪ベッドの染みを
 数えて見たら
 私の知らない
 染みがある

行為の後、シーツに大きな染みができることがある。
染みの原因はいろいろあるが、まずは汗。僕はかなりの汗かきだから、クーラーがなかった時代は大量の汗を流しながら日々励んでいた。
女の上に乗れば、大きな玉のような汗をポタポタと女の臍の中に垂らしながら腰を降り続けた。
女の下になれば、乾いたプールサイドに濡れた人型を描くように、汗でシーツに体型を描き、女のなすがままに快楽に溺れていた。
クーラーが当り前になった今でもあまり冷やさずに励み、適度に心地よい汗を流し、シーツを濡らしている。

汗以外では精の液がいやらしい染みを描く。血の染みもある。

若い頃の僕のベッドパットは他人にはお見せできないような染みが多数残されており、パットを通過してベッド本体も染みだらけだった。
ある時、狂女のようになった妻が染みだらけのベッドを刃物で切り刻み、不気味にスプリングが露出した。
妻以外の女を連込んだことが、ついに発覚したのだろうと、僕はベッドと共に妻に殺されることを、この時、覚悟した。
後々妻に聞いたところ、ベッドは粗大ゴミで処分するのに金がかかるので、小さく切り刻み、汚いベッドを処分したとのことだった。

ベッドを濡らす原因として女の愛の液と潮がある。
今までの経験を振り返ると、愛の液にしてはシーツが濡れ過ぎていたことはなかったですか?
それが潮だ。
潮を吹くというと、アサリが潮を吹くようにピュッピュッと勢いよく飛び出すイメージを抱きがちだが、知らず知らずのうちに貴女も潮を吹き、シーツを濡らしたことがあるかもしれない。