強さと愛と優しさと | アンダンテ♪・・・ゆっくりと

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思いつくまま、気の向くまま・・・そんなブログです。

多忙な時期は、コメントのお返しが遅くなることがございます。
どうぞ、ご了承くださいませ。

         

小さい頃は身体が弱く、秋から冬にかけて学校を休みがちな女の子がいました。
持病の気管支喘息から肺炎になることの繰り返し。

中学校では勉強が遅れるのが怖くて、調子が悪くても無理して登校。
無理がたたって、また肺炎になり入院。その繰り返し・・・・・
ある日、家庭教師のS先生が来るようになりました。休んだ分のお勉強を補うためです。
S先生は学校の先生になるのが夢、I大学教育学部の2年生。
薄化粧にふんわりパーマが素敵な背の小さい先生。クールでほとんど笑顔は見せない先生。
女の子は、S先生と勉強以外のお話をした記憶はありません。






わからないところは、時間をかけて徹底的に教えるS先生。
S先生といっしょに勉強していて楽しい雰囲気ではなかったけれど、勉強がどんどんわかっていくのは女の子にはとても嬉しいことでした。
S先生との勉強時間はあっという間に過ぎ去ります。それだけ、熱中できる時間だったのでしょう。

高校受験直前になるとS先生は、不安な女の子に向かって毎回こう言いました。
「大丈夫、これだけできるなら大丈夫!」
励ます時の目は力強く凛とした雰囲気が怖いほどだったけれど、女の子はS先生の言葉を信じて自信を持って受験に挑めました。



高校に合格した夜、S先生が女の子の家に来ました。そして女の子に英語の辞書をプレゼントしました。
「この辞書は大学に入っても、ずっと使えるからね。」と。
女の子はその辞書を大学に入っても、大人になっても使いました。女の子が後に英語好きになったのは、この辞書のお陰かもしれません。

しばらく年賀状だけのやり取りが続いたけれど、いつの間にかそれも途絶えてしまい、S先生と女の子の接点は全く無くなりました。
女の子は時々S先生を思いだしました。あの時のS先生の表情、目の力強さ。
熱心だったな・・・S先生は学校の先生になったのかな・・・・・


女の子は大人になり、街角で久しぶりにS先生を見かけました。
胸がドキッとしました。覚えているかな・・・思い切ってS先生に声をかけました。
振り向いたS先生の顔は、笑顔でした。
S先生は夢がかなって、小学校の先生をしていました。結婚してお子様も2人いました。
立ち話をしばらくしたとき、S先生は本当はあたたかい人だったのかもしれないと、大人になった女の子は初めて思いました。

この日、母親は、「あの先生、とても涙もろくてね・・・貴女が病気で休みがちなことを告げると涙をポロポロ流していたのよ。」
・・・・・信じられない、あのS先生が泣くなんて・・・
「高校に受かったと電話で言った時は、泣いて声を詰まらせてたっけ。」
・・・・・電話を変わったときは、いつもの声だったのに・・・・・



受験の時期になると思い出すS先生。
大丈夫!の言葉は、どれだけ励みになったかわかりません。口先だけでない心のある「大丈夫!」は、不安を安心に変えてくれる言葉だなぁと思います。
厳しさの根底には、強さと優しさと愛がありました。だからこそ頑張れたのだと、しみじみ思います。
自信を持って取り組むことは、成功への第一歩・・・・S先生から教えていただいたことです。