我が工房は着物を手描友禅で染める染屋ですが、和小物や帯揚げも作っています。
半襟とのアンサンブルでローケツの帯揚げを作ったりして、物作りを楽しんでいますが、その中でも染分けの帯揚げは沢山の別注を頂く人気作品。

世間には縦に染分ける縦ぼかしの帯揚げは沢山ありますが、左右に染分けた帯揚げは少ないそうです。
この本の著者も染分けの帯揚げを探して居られ、ネットから我が工房を見付けて頂き注文を頂いたという訳。
その帯揚げがこの本に掲載されたのです。
これが「着物イロハ事典」です。
染屋の独り言Ⅱ-着物イロハ事典
着物通なら良くご存知の「着物屋くるり」さんが著者となっていますが、中身の構成著作を担当されたのが「大竹恵理子」さん。
大竹さん自身が「ファブリック帯の本」という本も書いて居られるのですが、くるりさんからは大竹さんによるこの手の本が既に数冊発売されているとか。
大竹さんは着物スタイリスト、着付師のかたわら書道家の一面を持つスーパーウーマン。

本の中身は期待以上でした。
一冊の本に着物の全てを書き込む事は不可能、広く浅くという事になりますがその広さが見事。
私なんぞ、染の事は可成り深く知っているつもりですが、着付やそれに付随する小物などに付いては全く知りませんでした。
染工房 遊を立ち上げてから消費者の方と直に接する機会が増えたので、仕立に関する知識も増えましたが、この本では手入れに付いても詳しく、驚いた事に仕立て直しに付いても分かり易く説明されています。
正にオールラウンド。

もう一つ驚いたのが、分かり易く説明されている着物の「格」に付いて。
図表で示されているのでとても分かり易く、良く考えられている本だと実感します。
写真に撮って公開したいくらいですが著作権もある事なので。

正に着物を着始める方のバイブルと言って良いでしょう。
着物を着る機会の多い人には尚更の必需品。
着物を現代風に着こなして居られる方も沢山居られますが、着物の節理を知った上で大暴れすると個性も光ります。
その意味でも沢山の人に読んで頂きたいと思います。

因みに工房の作品である染分けの帯揚げは75ページに掲載されています。
今回、重版される事になったとか、我が工房の名前も協力工房として付け加えて頂けるそうです。
販売価格は1,300円プラス消費税。

工房に来られる女性のお客様は男の着物姿にほれぼれすると仰る方が殆ど。
我が工房でも男の方が着物を注文される事が増えてきています。
願わくはこの本の男性版を作って欲しいものです。
男の着物姿はカッコいいですよ。