濃い地色の着物では何も問題ありません。
問題は薄い地色。

最近は額縁ぼかしの八掛をされる方がめっきり減りました。
ださいと感じるのが一番の原因の様ですが、都市部以外ではまだぼかしの八掛が主流という所もあります。
お嬢様のクリーム地の着物に赤い額縁ぼかしの八掛を付けるのは当り前でしたが、着用時に八掛の色が丸見えも当り前でした。
そんな中で共色の無地を付けられるのが増えたのだと思います。
最近では額縁ぼかしの誂えを依頼出来る所も少なくなった様で、職人さんの激減も影響しています。

無地の八掛が増えたのは良いのですが、問題は胴裏が白だという事。
薄い地色では帯から少し下がったところに胴裏と八掛の継ぎ目が見えてしまいます。

工房が依頼している仕立のスタッフの中には御皇室の着物を沢山仕立てた方も居られます。
その方のお話に寄ると皇后陛下の着物では、八掛を着物の揚げの部分まで長く取って居られるそうです。
そうすれば繋ぎ目は帯の下に隠れ、帯の下の方に微かに見える八掛と胴裏の継ぎ目が分からなくなります。
胴裏の生地を減らすのでコスト的には少しの加算で済みます。
工房でもまだお客様に勧めた事が無いのですが、これからは一つの案として提案したいと思います。

それでも着物の上部は仕立の折返しと胴裏の白の差で色が違って見える事が多くあります。
これを避ける為の方法が二つあります。
胴裏の染と通し裏です。
着物を着用された時、袖口からちらっと見える白は綺麗なものですが、胴裏を共色に染めておけば折返しとの色差が表に出る事は殆どありません。
プラス胴裏の染代で解消されます。
もう一つの通し裏は八掛と胴裏分を同じ胴裏生地を使って表と同色、或はお洒落な色に染めるものです。
胴裏生地は通常八掛に使われる生地より薄めなので、最高級の胴裏とは言えど、すり切れる割合は多め。
同じ着物を多用される方には不向きです。
京都の伊勢丹では9割以上のお客様がこの通し裏にされるそうです。

長八掛に色胴裏、通し裏で薄めの地色対策を考えられれば如何でしょうか?