昨日、出会った人は金箔の会社社長。
型屋さんの友人と言う事でお知り合いに。

服地の金箔が主な仕事なのですが、着物関係の箔も手がけて居られます。
こちらが知っている以上に業界に顔が広く、面白いお話を聞く事が出来ました。

インクジェットで振袖を染めている会社は計十社前後とか。
一枚の染代が協定価格一万八千円を昨秋破られたとか。
今でも使われていますが、初期に近いものは顔料インクでした。
表面にしか着きませんから、質感は良くなかったのです。
生地には接着剤で引っ付けているので、後年問題が出る可能性もあります。

その後、一台三千万という価格のインクジェット機が導入されて、一気にブレーク。
ただ、染料が裏に回らないから真っ白、こすれば剥離する等の問題も引き起こしています。
しかし、これらの問題も解決に向った様で、最近の機種では普通の染料が使え裏まで色が回り始めました。
価格も四百万円代まで低下、広く使われそうになってきました。

「今時の振袖」と言われば「ああ、あれ」と分かる振袖なら問題無いのですが、ここへ来て不埒な事を仕出かす業者が現れてきたそうです。

それはコピー。

出来上がった他社の作品をそのまま写し取って同じものを作ってしまうというもの。
これは以前からあったのですが、最近はそれが顕著とか。
インクジェットの振袖も過当競争、低価格で仕事を集めねばなりません。
手っ取り早く安価に上げる為とは言え、許されざる事です。
真似する素材は小売価格二百を越えそうな手描友禅の振袖。
真似された方はたまったものではありません。

金箔会社の社長曰く「インクジェットの振袖に使う金箔も値下げ攻勢でやってられない」と。
以前、知人のミシン刺繍をやっている人に聞きいたのは「信じられない値段でやってくれと言うんですよ」
どこも苦しいみたいですね。

インクジェット、今や型屋さんも愛用する時代になっています。
「機械染」と印を貼る良心的な所もありますが、まだまだ少ないそうです。
元々、機械捺染と言う機械染めがありますが、こちらは一反の染に二三分で出来上がってしまいます。
要は輪転機ですね。
江戸小紋の安物は全てこれ。

どちらにしても、良心に恥じない仕事をして欲しいものです。