空き家問題の解決もかねて、中古物件の流通を促進するべきという話がある。中古物件をリフォームして、新しい住人に住んでもらい、空き家問題を減らしていくという。非常にいい話のようだが、現実的にはなかなか難しいと思う。

 

中古物件の購入基準として、1981年以前の旧耐震基準とそれ以降の新耐震基準、さらに2000年基準というものがある。おおむね2000年代以降の住宅であれば、耐震基準はある程度満たされていると考えてよさそうだ。しかしながら、空き家になる住宅はそもそも旧耐震も多そうだ。こうした住居に耐震補強工事をすれば費用がかさむ。

 

中古物件の課題は耐震だけでない。耐震は必須だが、快適に暮らすには断熱性や気密性が高いほうがよい。最近になって国が断熱性や樹脂サッシなどに補助金を出しているのは、日本の住宅が外国と比べ、著しく劣っているからである。冬場のヒートショックによる死亡事故などでわかるように、基本的に昔の住宅は明らかに寒い。これは2000年代の受託といえども、十分な断熱が入っていないこともありうる。こうした住宅に断熱工事を行えば、いっそ新築を建てた方が安くなりそうだ。リフォームでは部分的な変更しかできず、耐震や断熱、樹脂サッシなどの大掛かりな工事は、当然費用がかかる。

 

空き家問題は住む人がいないことや、解体して更地にするより空き家のままに放置したほうが固定資産税が安く、そのため放置するといった面がピックアップされがちだ。しかしながら本当の問題は、往々にして価値のない家という問題があると思う。欧米では家を修繕しながら長く住むという。これには地震が少ないということもあるとは思うが、日本のようなスクラップビルドをベースにした安普請とは異なる。長く大事にされる家であれば、空き家問題も減るような気がする。