タワーマンションの値上がりなどを背景に、自宅投資を進める人もいるようだ。購入時より数千万円の値上がりがあったりするとか。羨ましい話だが、いくつかの懸念点がある。

 

一つは、結局はマンション相場が上がり続けるなら、売却で利益が出ても、今度購入するときは、相場が上がったマンションを購入することになる点だ。売却で得た利益が吹き飛ぶ可能性もある。

 

二つ目は一つ目と絡むが、どこで出口をみつけるかだ。マンションの資産価値が上がったとしても、どこかで売却しないと利益にはならない。マンション売却で得た利益で実家に戻るとか、安い家に引っ越すなどせずに、さらに高額のマンションを買い続ければ、結局は金欠状態だ。

 

そして最大の懸念は、地震大国日本の震災リスクだろう。南海トラフのような大地震が来た場合、地震保険をかけていたとしても、被害の最大50%の補償しか得られない。自宅投資の場合、自分自身を担保に35年など、超長期にわたる借金を金融機関から前借りして購入した場合、かなり悲惨なことになりそうだ。仮に1億円の物件を購入したのちに大地震が起きて建物が倒壊した場合、5,000万円は補償されても、残り5,000万円の借金は残る。将来の収入計算を元に、住宅ローンをフルレバレッジでかければ、調子がいい時はいいが、逆回転した時に大きな負債に転じる。

 

これまでは自宅投資は大正解だった。実質的なゼロ金利が続く限り、住宅ローンを利用する人は多いのだから、結果、需要が供給を上回り優良マンションは値上がりしていくという見立てはその通りだと思う。しかし、大地震があれば、このシナリオの前提条件が崩れる。判断の難しい投資だろう。