妻への家路 | あさひのブログ
チャン・イーモウ(張藝謀)監督、チェン・ダオミン(陳道明)、コン・リー(鞏俐)主演の人間ドラマ。

「妻への家路」(2014年 原題「帰来」 監督/張藝謀 主演/陳道明、鞏俐)
111分
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――1970年代、文化大革命のさなか。タンタン(陸丹丹)は所属するバレエ団で主役の座を目指し日々練習に励んでいた。だがテストで優秀な踊りを見せたにもかかわらず主役にはなれなかった。それは彼女の父が、革命に背く右翼分子だとして投獄されていたからだった…。
その父ルー・イェンシー(陸焉識)が脱走したという報せが。母ワンユイ(馮婉瑜)はもう10年以上会っていない夫にひと目逢いたいと思うが、タンタンはそれが国に背く行為であるばかりか、自分の人生をも狂わせたと父を憎んでいた――

[ここからネタバレ-------
イェンシーはやはり戻ってきた。ワンユイのいる部屋の戸を叩くが、ワンユイはその戸を開けることはできなかった…イェンシーは「明日8時に駅の橋脚で待つ」と書いた紙を戸口の下に差し込みその場を去る。
翌日、人で混雑する駅の橋上に妻ワンユイの姿を見つけたイェンシーは大声で名前を呼ぶ。だがその場を張っていた党員が彼の姿を発見し、イェンシーはワンユイとタンタンの目の前で捕捉され連れ去られて行った…。

文化大革命が終わり、イェンシーは無実の罪を解かれ名誉回復し帰宅する。
だがワンユイはイェンシーを見てもぼんやりとしていて、ご近所さんにでも会ったかのような反応だ。夫のルー・イェンシーだと名乗るも、あなたはファン(方)さんでしょうと言われてしまう。
タンタンや党の世話役の話によると、彼女は1年前から心因性の記憶障害になってずっとこんな調子だという。幸い迷子になったりするようなことは今の所ないようだが、彼女はなぜか娘タンタンを遠ざけておりタンタンは勤務先の寮で暮らしていて毎日様子を見に来るが心配している。

自宅の近所の空き家を借りて住み始めたイェンシーはなんとかしてワンユイの記憶を取り戻そうとこころみる。昔の写真や昔好きだった音楽がきっかけで記憶が戻ることがあると聞いたイェンシーは昔の友人を訪れ写真を譲ってもらいワンユイに見せるが、写真の人物はイェンシーだと分かるようだが目の前に立っている人物をイェンシーだとは認めなかった。
音楽教師だったイェンシーはピアノの調律師を名乗って彼女の前でピアノを弾くが、それでも彼女の記憶は戻らなかった。

イェンシーはワンユイ宛てに手紙を送る。5日に戻るよ、と。すると5日の早朝ワンユイは駅へ出掛けて行った。そして駅の出口でイェンシーが出てくるのを一日中待っていた。すぐ目の前にイェンシーが立っても、彼女の目にはまったく映っていないようだった。
それから毎月5日になるとワンユイは駅へ出掛けて夫のルー・イェンシーが戻って来るのを一日中待っていた…。

イェンシーはワンユイ宛てに、収容されていた頃書き溜めていた大量の手紙を送る。そしてご近所さんと名乗って目の悪いワンユイの代わりに手紙を声に出して読んでやる。ワンユイはとても嬉しそうにそれを聞いた。
イェンシーはこれは最近の手紙だと言って、娘と一緒に仲良く暮らしなさいと書いた手紙を読む。翌日ワンユイはタンタンを呼び戻し、一緒に暮らすことになったタンタンはようやく安堵する。
だがある夜、タンタンに夜食を差し入れに行ったイェンシーを見たワンユイはひどく怯えた様子で「ファンさん、今すぐ出て行って!」と叫ぶ。ファンさんとは一体何者なのか…タンタンを問い詰めると、ファン氏はイェンシーが投獄された際に減刑を図ってくれた党員らしいが、その見返りにワンユイを暴行したようだ…。
怒ったイェンシーは翌日ファン氏の自宅を訪れるが、そこには彼の妻が一人で暮らしており、無実の罪で投獄された夫を早く返してくれと怒鳴り散らすのみだった。

そして何年もの月日が過ぎた。
雪の降る早朝、イェンシーは荷台付き自転車を準備する。タンタンに支えられてワンユイがそこへ乗り込む。今日は5日、"ルー・イェンシー"を駅へ迎えに行く日なのだ。駅の出口でワンユイとイェンシーは並んで一日中、やって来ることはない"ルー・イェンシー"を待っているのだ。(終)
------ここまで]

厳歌苓という作家の「陸犯焉識」という小説の終盤をモチーフにした物語らしい。最初は邦題の意味が不思議に感じるけど、半分くらいくるとなるほど!と思ってしまう。
単なる感動の再会物語ではない、正直つらく苦しい物語。

[ここからネタバレ含む----
この物語ではワンユイの病気が特殊な記憶障害として描かれているけど、でも普通に認知症だとしても何ら不思議のない、現実の残酷さを目をそらさずに描いている。----ここまで] そして忘れられることはとてもやりきれず哀しいことだけれど、「いつまでも覚えられていることのつらさ」という視点にははっとさせられた。覚えててほしいと願ったりもう忘れてほしいと思ったり、人間て身勝手な生き物で、その分だけ多くの悲しみを背負って生きて行かなければならない。[ここからネタバレ含む----でもそういう残酷な人生のなかでも人はちゃんとどこかに幸せを見出すんだな、というラストシーン。----ここまで] 涙なしには観れない。

まーしかしチェン・ダオミンはやっぱりオーラがね…絶対的善人オーラが隠せないから、もちょっと凡な目立たない人が演った方がリアリティあってさらによかったかもしれないw
コン・リーもさすが貫録のお芝居。病気の役は難しい。でもすごくリアルだった、視線とか。

あとこの作品、セリフがすごく聞き取りやすいです。勉強にもなります。日本語字幕とは若干ニュアンス違うなって部分もちょこちょこみられます。


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2枚ずつしか借りられない。そしてひと月に4枚借りねば損…。
23勝17敗4引分け。

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原作「陸犯焉識」の翻訳本。映画とはちょっと内容が違うようです。



長いものに巻かれろ