目をはじめ健康に関するニュースだけでなく
おもしろい内容のニュースもお届けします。


<東日本大震災>自宅流された全盲の女性…華道再開を目指す
拡大写真
仮設住宅で花を生け、笑顔を見せる全盲の菊池栄子さん=岩手県陸前高田市で2011年9月4日午後0時22分、貝塚太一撮影
 指先の感覚を頼りに華道をたしなむ全盲の女性がいる。岩手県陸前高田市の菊池栄子さん(66)。海から数百メートルの平地にあった自宅を津波で流され、同じく全盲の夫利美さん(70)と仮設住宅で暮らす。作品づくりに励む余裕はないが「家が広くなったら、また始めたいわ。お花は我が子のようなものだから」【豊田将志】

【写真ドキュメント】東北でM9.0巨大地震 大津波、死者・不明多数…3月11日午後2時46分

 3月11日は自宅で営んでいたマッサージ・はり治療院の客を送り出した直後、大地震に襲われた。「家がグンと持ち上がったかと思うと、ぐるぐる回り出すようでした」

 津波が来ると直感し、利美さんの肩にしがみついて家を飛び出した。四方八方から聞こえてくるガレキのぶつかり合う音。足首に感じる水の冷たさ。「危ないから、もう少し右に寄って逃げなさい」と声をかけてくれた近くの女性は津波の犠牲になった。周りの助けを借りて山をよじ登って高台の施設にたどりついたころ、誰かが「家が流されていく」とつぶやく声を聞いた。

 視神経が萎縮する病気で視力を失ったのは30歳前。自宅を新築した85年ごろ「自分が生けたお花を玄関に飾れたら」と憧れるようになり、04年末から教授の資格を持つ視覚障害者支援団体メンバーの窪田真佐子さん(57)の指導を受けている。

 指先で剣山の位置を探り、花の形や茎の長さ、太さを確かめる。「空間を把握する感覚に優れています」と窪田さん。震災前は治療院の玄関に飾っていたが「私が生けたと言っても、信じてくれない人が多かった」と笑う。咲いている花に「もう少し散らないでいなさいよ」と声をかける栄子さんを「一人で何を言ってんだ」と冷やかす利美さんは、過去に生けた花の種類や色を点字で記録していた。しかし、資料も津波に流されてしまった。

 4畳半の部屋が二つしかない仮設住宅の暮らしは3カ月を過ぎた。作品を飾るスペースもないが、空き家になっている栄子さんの実家は被災を免れたため、少しずつ準備を整えて引っ越すことも考えている。「やっぱりお花がないと、さみしいものね」。再開した治療院の玄関に花の香りが満ちる日を夫婦で待ちわびている。



「この記事の著作権は毎日新聞に帰属します。」


関連動画も見てくださいね。




徳永式3日間で視力回復!1.5視力回復プログラム