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健康と社会生活の破綻につながるアルコール依存症。依存症のなりやすさは、アルコールなどを肝臓で分解する酵素の型が関係することから、どんなタイプかを遺伝子検査で調べ、予防に役立てようとの試みが進められている。(佐藤光展)
アルコール依存症は、長期間の大量飲酒で陥る。回復しても断酒を続ける必要があり、再び少量でも酒を口にすると、再発するやっかいな病気だ。
依存症になりやすいタイプかどうかに関わる酵素は2種類ある。
一つは、アルコールをアセトアルデヒドに分解する1B型アルコール脱水素酵素(ADH1B)だ。日本人は分解が遅い不活性型、比較的速い活性型、すごく速い高活性型の三つの型に分かれる。
もう一つは、毒性のあるアセトアルデヒドを、無害の酢酸に変える2型アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)。分解が速い活性型、遅い部分欠損型、全く分解できない欠損型の三つの型がある。
国立病院機構・久里浜アルコール症センター(神奈川県横須賀市)は、この2種類の酵素の9通りの組み合わせを、病気のなりやすさなどからA~Eの五つのタイプに分類した。
最も依存症になりやすいのが、ADH1B不活性型とALDH2活性型を持つタイプ(A型)だ。二日酔いせず多量飲酒しやすいが、アルコールの分解は遅いため、酔って問題を起こしやすく、酒臭さが長く残る。
A型は日本人の約4%と少ないが、依存症患者でみると27%を占める。
ADH1B不活性型とALDH2部分欠損型を持つC型は、食道がんや咽頭がんに最もなりやすい。A型と同じADH1B不活性型のため顔が赤くならず、酒豪と思われやすいが、ALDH2は部分欠損型のためアセトアルデヒドが体内に長くとどまり、がんを引き起こす原因となる。
■安価な唾液検査実用化へ
同センターは1990年代から、患者の血液を採取して酵素を確認する遺伝子検査の研究を行ってきた。問題は、検査に高額な費用がかかることだった。
そこで、武庫川女子大薬学部教授の木下健司さんは、唾液検査で簡単にどのタイプかを調べる方法を開発した。来年度中には、企業や団体を対象に、安価で受け付けを始めるという。
同センター臨床研究部長の横山顕さんは「若いうちに自分のタイプを知り、アルコールとの適切な付き合い方を身に着けられれば、依存症患者を何割か減らせる」と期待を寄せる。
アルコール依存症になってしまった場合、治療は、専門医療機関に通院し、酒を飲むと気分が悪くなる抗酒薬などを服用して断酒を続ける方法や、一時入院し、抗不安薬などで禁断症状を抑えながら、回復につなげる方法がある。
近年、注目されているのが心理療法の効果だ。
同センターの治療では、ストレスで再び酒を口にしそうになった時、依存症を克服して取り戻したい生活や、アルコールの害などを頭に浮かべ、気持ちを切り替えるコツを習得する認知行動療法も取り入れている。
「この記事の著作権は読売新聞(ヨミドクター)に帰属します。」
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| アルコール依存症の予防と治療 |
アルコール依存症は、長期間の大量飲酒で陥る。回復しても断酒を続ける必要があり、再び少量でも酒を口にすると、再発するやっかいな病気だ。
依存症になりやすいタイプかどうかに関わる酵素は2種類ある。
一つは、アルコールをアセトアルデヒドに分解する1B型アルコール脱水素酵素(ADH1B)だ。日本人は分解が遅い不活性型、比較的速い活性型、すごく速い高活性型の三つの型に分かれる。
もう一つは、毒性のあるアセトアルデヒドを、無害の酢酸に変える2型アルデヒド脱水素酵素(ALDH2)。分解が速い活性型、遅い部分欠損型、全く分解できない欠損型の三つの型がある。
国立病院機構・久里浜アルコール症センター(神奈川県横須賀市)は、この2種類の酵素の9通りの組み合わせを、病気のなりやすさなどからA~Eの五つのタイプに分類した。
最も依存症になりやすいのが、ADH1B不活性型とALDH2活性型を持つタイプ(A型)だ。二日酔いせず多量飲酒しやすいが、アルコールの分解は遅いため、酔って問題を起こしやすく、酒臭さが長く残る。
A型は日本人の約4%と少ないが、依存症患者でみると27%を占める。
ADH1B不活性型とALDH2部分欠損型を持つC型は、食道がんや咽頭がんに最もなりやすい。A型と同じADH1B不活性型のため顔が赤くならず、酒豪と思われやすいが、ALDH2は部分欠損型のためアセトアルデヒドが体内に長くとどまり、がんを引き起こす原因となる。
■安価な唾液検査実用化へ
同センターは1990年代から、患者の血液を採取して酵素を確認する遺伝子検査の研究を行ってきた。問題は、検査に高額な費用がかかることだった。
そこで、武庫川女子大薬学部教授の木下健司さんは、唾液検査で簡単にどのタイプかを調べる方法を開発した。来年度中には、企業や団体を対象に、安価で受け付けを始めるという。
同センター臨床研究部長の横山顕さんは「若いうちに自分のタイプを知り、アルコールとの適切な付き合い方を身に着けられれば、依存症患者を何割か減らせる」と期待を寄せる。
アルコール依存症になってしまった場合、治療は、専門医療機関に通院し、酒を飲むと気分が悪くなる抗酒薬などを服用して断酒を続ける方法や、一時入院し、抗不安薬などで禁断症状を抑えながら、回復につなげる方法がある。
近年、注目されているのが心理療法の効果だ。
同センターの治療では、ストレスで再び酒を口にしそうになった時、依存症を克服して取り戻したい生活や、アルコールの害などを頭に浮かべ、気持ちを切り替えるコツを習得する認知行動療法も取り入れている。
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