大きな砂場に米粒ふたつ。

「うん、迷った。」
「知ってるよ。」
「うむ…。」

余裕いっぱいの少女、ワルツは奇跡を起こすことができる。
しかし、魔法少女のようにミラクルマジカルお姫様になぁれ、のような奇跡は起こせない。

彼女の感情、身体の状態などによって、この『世界の天候』を変化させることができるのである。

例えば、彼女が悲しい思いをすると空はたちまち雲に覆われてしまい、泣き出してしまうと雨が降る、という具合である。
実に単純明快、夢のない力である。

「…ちゃちゃっと魔法でカレーライスとか出してくれよ…。」
「あははは!ロードお兄ちゃんマンガの見過ぎだよぉー。」
なんだよ、なんか本当に俺が現実と二次元の区別がつかない人みたいじゃないか。

幼女に指さして笑われている青年ロードは今にも泣き出しそうである。
それに対し、匂い付き消しゴム味キャンディを舐めているワルツはスキップ気味で歩いている。
魔法少女もビックリな奇跡を起こすくらいなので、ロードはもはや飲まず食わずなのに元気いっぱいなワルツを不思議には思わなかった。

「…おいしーか?」
「おいひー♪」
「どんな味?」
「うーん…消しゴムがおいしくなったカンジ。」



永遠に続くのではないかというほど広い砂漠をとぼとぼと歩いていると、二人の間を元気なサソリがカサカサと追い抜かして行った。
「あ!サソリぃー♪」
「ちょ、待てって、いまどきの女の子がサソリとか追うなよ!ちょうちょとか追えよ!」
必死にサソリを追う少女。現代の子供というものに疑問を抱き走る青年。

ぼてっ。

「こ、これがゆとり教育のなれの果てなのか…あ、転んだ。」
ぼてっと音を立てて転ぶ子供も珍しい。

「ほら、砂の上走るから…。」
「す、すなぁ…ぐすッ…。」
服も顔も砂だらけである。

「ふぁ…は…ぺぷし!!」
「どんなくしゃみだ…ってうわ!」
ワルツがくしゃみをした途端、突風が二人を襲った。
くしゃみは、突風に繋がるようである。

ロードは砂から目を守りながら、近づいてくる何かを見た。

耳を澄ませば、バサバサと鳥かなにかが飛ぶ音。しかし規模が違う。

「な…っ!!」
驚きの目。
「わぁー…!!」
輝く目。

「おいおい…竜なんて何年ぶりだよ…しかもあの大きさ…。」
戦隊ものの合体ロボほどの大きさである。

「あんなに速く飛ぶなら、砂漠なんてすぐに抜けられるねー。」
「奇遇だな。俺もいま同じこと考えてたよ。」
旅人ロードは、冷静さを取り戻し、笑みを浮かべていた。


とぅーびーこんてぃにゅーど。