彗星のたね*机上の空想かたちにします*

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先日、彩子さんの詩集をご紹介させていただき、「詩」つながりということで、

久々に、おすすめもののご紹介。

 

『月に吠えらんねえ』 (清家雪子) アフタヌーン

 

 

第20回文化庁メディア芸術祭マンガ部門・新人賞を受賞した、近代詩歌俳句闇鍋的ジェットコースター。

 

舞台は『□(シカク:詩歌句)街』という、近代詩を書いた詩人たちが住まう架空の街。

そこには、萩原朔太郎や北原白秋、室生犀星、与謝野晶子、宮沢賢治など、作品からイメージされ擬人化された人たちが生活している。

 

主人公は、萩原朔太郎(月に吠えるの作者)の作品を擬人化した、「萩原朔太郎」。

(宮沢賢治にいたっては、人間ではなくアライグマ(笑))

朔太郎は、詩を書くための「詩情」というものをつかむために、溺死体を何時間も眺めていたりする、

いい感じにくるっている人物で描かれています。

 

その□(シカク:詩歌句)街で起こることは意味不明。

あるとき岡の上に、突如正体不明のまっくろな死体のようなものが現れたり。

死んだはずの女たちが小鳥になって飛んで行ったり。

朔太郎が妊娠したり・・・(!?!?)

 

その狂気じみたファンタジー感と、文学的な雰囲気が好きで、読み続けています。

 

しかし、読み進めていくと、「戦争詩」というのがキーワードになってくると分かってきます。

戦争のため、人々を鼓舞するため、生み出されていった戦争賛美の詩。

戦争詩を書く、という形で戦争に加担させられていった詩人たち。

そして戦後、なかったことにされた多くの戦争詩と、詩人たちの葛藤。

 

詩があちこちに散りばめられていて難しさを感じる部分もありますが、作者はものすごい数の資料をもとに書かれているようで、漫画なのに詩の重量感がはんぱないです。

 

本が好きな方(とくに純文学系)にはかなりおススメです。

文人などを擬人化しバトルさせる漫画は趣向に合わなかったのですが、

作家の本質を理解して描かれているこちらの漫画はとても満足いくものでした。

 

昨年11巻で完結しています。

マイナーな漫画ですが、Amazonでの評価も高いですので、気になった方はAmazonレビューもぜひ参考になさってください☆