今日はマラリアに関する講義と実際に標本を観察してきました。

先日の日記にもあったようにマラリアは交通事故と同じく活動中に死亡する可能性の高い怖い病気。自然と学ぶ方にも力が入ります。

マラリア原虫を媒介する蚊に刺されることで発症する可能性があり、早期発見・早期治療しないと手遅れになるらしい。
疾患が疑われる場合に早めに薬を服用すれば、回復も早いとのこと。

知ることで怖くなったけど、ちゃんとした知識がないともっと怖いなと思えた。そういう地域に何千万と人が住んでいるんだから、対策をしていけば大丈夫だろう。ポジティブシンキング。

実際に顕微鏡で見てみるととても神秘的。こんな虫が人を死に追いやるんだから。

マラリアに感染した赤血球を探すのが上手いって講師に褒められて上機嫌な1日でした。


以下は今日の講義メモ

マラリアplasmodium:80種位あるが人に感染するのは4種。ハマダラカを媒介して増える。
蚊の体内で有性生殖し、人の体内で無性生殖で増殖する。
蚊のなかでもマラリアに感染しているのは稀。流行地でも蚊の感染率は0.5%程度。
感染したら現地で治療する。その方がマラリアに対する薬がそろっている。
雨季の始まり、最中に流行する。

顕微鏡見るときのポイント
まずは大きさを見て三日熱、卵形又は熱帯型、四日型を見分ける。赤血球が他のより大きいものは三日熱又は卵形(発症する地域で判断する)で、シュフナーの赤い斑点が見える。赤血球のほぼ全体を占める生殖母体が見られることがある。
熱帯型は他の赤血球と同じサイズ。
血小板が赤血球と重なると見間違えることがあるので注意。
染色された赤血球より大きい細胞体のようなものは白血球、赤血球より小さい細胞体のようなものは血小板。マラリア患者は健常者に対して血小板の数が少ない。


三日熱マラリア:3日おきに高熱がでる。感染した赤血球は肥大する。熱帯熱、四日熱は赤血球の大きさ変わらない。細胞に細かい点で染色されることが多い。
四日熱マラリア:赤血球内全体に細胞体が細く広がることがある。現在ではほとんどみられない。
熱帯熱マラリア :顕微鏡で見つかる程度に感染して5日放置すると100%死に至る。休眠はしない。感染した赤血球内にいくつも原虫が入る。赤血球内にアップリケ状に原虫が入るのが特徴。2核以上入るときがある。細胞質の輪状体が華奢。赤血球大の大きさの雄性体、雌性体がみられることがある。どちらも少し細長い丸型。
卵形マラリア:三日熱マラリアに症状・形がよく似ている。アフリカの場合は三日熱よりも卵形の場合が多い。

三日熱、卵形マラリアは休眠することがある。休眠中は抗体を調べているかを判断する。

頭痛、倦怠感、高熱、関節痛、悪寒(咳、鼻水、等はなし)
症状だけで診断する場合が多い。
怪しい場合はとりあえず薬を服用することが多い。

プリマキン:肝内型マラリアを殺す薬(根治療法)。G6PDという酵素を持つか確かめて使う。日本人は大抵もっている。流行地に住む人は休眠体をもっていると抗体が出る利点があるためプリマキンを使わない場合が多い。

現地に行った直後と帰り間際に感染しやすい。
帰り間際は忙しくて、健康状態悪化することがあるので、抵抗力が弱まる。

ハマダラカ:羽根にまだら模様がある。止まったときにお尻を上向きにしてとまる。
ボウフラは水平にして水面にいる。清流にしか繁殖しない。
日没以降から日の出までの間に刺しにくる。膝から下を多く刺す。特にくるぶしから下を多く刺す。
靴下をはくのが有効。
日中はどこに居るかは不明。

対策:蚊帳、蚊取り線香。
蚊帳は訓練所で買わないで、現地で買ったほうがいい。訓練所は高くてサイズも合っているか分からないので。少し大きめの蚊帳が○。殺虫剤をふくんだ繊維の蚊帳がある。
JICAから支給される場合は流行地であるのでより注意が必要。

現在ほとんどの熱帯熱マラリアはクロロキン耐性。最近はメフロキン、チンハオスウが使われる。MCに聞くのも好い
早く病院に行くことが大切。
血小板の減少がみられる。
症状ひどいとDICになることがある。
解熱剤などの併用はしない(メフロキンなどのみで熱はすぐに下がるため)

厚層標本:血液を1円玉大にのばして、乾かして、ギムザ染色液を入れる。
薄層標本:ガラスで血液を薄く延ばして乾かして、メタノールで固定し、ギムザ染色する。