だが、上目づかいにうかがうと、ふたりとも、
茉莉の学校とは違う制服。
ちょっと安堵して、聞き耳を立てる。
「でもさ、体重だけ同じになってもあまり意味ないっつうか、
もともとの顔とかセンスとか、全然違うんじゃねって」
「うんうん、それに読モのなかでも細いヤツって、
体重多めに発表してたりするらしいじゃん。
バカな読者が過激なダイエットしないように、っつう目的で」
たしかに、私も顔やセンスには全然自信がない。
でも、そんなわかりきったことより……
細い読モが体重を多めに発表してるって、本当なのだろうか。
いや、きっと本当なんだ。
『リセエンヌ』のあの人が、私よりずっと細いのはそういう理由。
だとしたら、本当の体重は何キロなんだろう。
37キロ?
いや、35キロくらいかもしれない。
顔やセンスがダメな分、体重だけでも同じに、いや、少なくしなきゃ。
茉莉はその日もいつも通り、弁当を捨てたが、
いつもほど罪悪感はなかった。
そして、バドミントン部の早朝練習でも、放課後の練習でも、
いつもより激しく動くようにした。
帰る頃には体がくたくたで、駅の階段を昇るのにもひと苦労だったが、
不思議なことに、空腹感がまったくない。
あれ? いつもならお腹がすいてくる時間なのに……
一瞬、それでも何か食べておいたほうがいいかな、という思いがよぎったものの、
それよりも、せっかくだから夕食も抜いてしまおう、という気持ちが勝った。
翌朝、体重を量ると、37.3キロ。
前日より、800グラムも減って、37キロ台に突入。
やっぱり、食べないほうが痩せられるんだな。
胃の中が空っぽで、お腹のラインがほぼ平らになっているのが心地いい。
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