先週の経営会議で、社長含め、経営ボード陣と採用における「求める人物像」について議論をしました。
求める人物像設計という考え方は昔から組織人事領域にはある考え方です。そこで、当社らしい設計の考え方を議論しました。
<今ある求める人物像設計>
同じ仕事をしているのに、高業績者と低業績者が現れるのはなぜか?ということの研究から「コンピテンシー」という考え方が出てきました。
確かに、同じ採用試験を突破したのに、なぜ業績に差が出るのか。それは「仕事の仕方」に違いがあり、「行動」に差があることが分かってきました。
よって、現在の求める人物像設計の主流は、「現在」の高業績者と低業績者の「能力(コンピテンシー)」をサーベイによって抽出し、インタビューによって行動特性を明らかにします。その「差」を業績差の原因として特定をします。
よって、採用においては、高業績者が持つ「コンピテンシー」を持つ人材を獲得するべき。という議論が主流でありました。
しかし、ここで疑問が生じます。
この設計方法は将来に渡り「高業績」を上げられる人材を獲得、育成できると言えるのでしょうか?
この設計方法はあくまでも「現在」であり、この数年位の高業績者の特徴を抽出しただけでしかないのです。
それでは、求める人物像はどう設計するのだ?となります。
企業は生き物です。高業績を出していた方が輝きを失い、変わって、これまで輝いていなかった人が高業績をあげていることも良く聞く話です。
常に組織は「変化」をしているという視点を忘れてはいけないと思います。
よって、求める人物像を描く場合、
固定するのではなく、変化すること。
現在だけではなく未来を予測すること。
がキーワードになります。
具体的には、
3者間の関係視点を持ち込むことが有効だと考えます。
「顧客の変化」「競合の変化」が及ぼす「自社の変化」です。
競合が変化をすれば、自社の営業戦略に変化をもたらします。その戦略を遂行する人材が変化できなければ市場からの退出を求められます。
その変化のスピードがグローバル化とITによって、かなり上がっているのがこの時代だと思います。
よって、数年前に築いた競争優位性は、現在の競争優位性ではないことも多いのです。
では組織人事的視点で会社の競争優位性を発揮し続けてくためには市場の「変化」を予測し、人的資源の開発と調達をしなければなりません。自社の商品サービスはどう変化しているのか?最新の営業戦術はどうなっているのか?また、どう変化しようとしているのか?それを実行する人材はどうあるべきか?を常に考えることが仕事になります。
10数年前、あるソフト流通会社のお手伝いをした時、社長のSさんが採用した人材は
●電気・電子の学部を出ている人材。特に通信は早急に採用したい
●WEBに精通した人材(10年前はまだISDNも普及していない状態)
●金融知識を持っている人材(ソフト流通になぜ金融知識が必要なのか?)
等、ソフト流通販売会社には必要としないのでは?と若き自分は思っていました。
しかし、その会社は現在移動体通信事業者として変貌を遂げ、斬新なTVCMでおなじみの会社になっています。
この例のように、「今」を見て採用しても、会社の成長発展には必ずしも繋がらないことが分かります。
要は、自社は何をやるための組織なのか?を明確にし、それを実現するために必要な「能力」や「経験」を持った人材を獲得する必要があります。それが、本当の意味での「求める人物像」だということです。
よって、
●現在活躍する人材の特徴を把握すること
●未来の事業環境を経営層、マネジメント層と議論し、獲得すべき「能力」「経験」を定義すること
●未来を創る人材を確保するための「マーケティング」方法を考えること
この一連の流れを毎年考え、構築することが「採用」活動だと思います。
そして、現在の社員の「能力開発」を考え、実行することが「育成」だと思います。
「管理部門にルーティンの仕事をさせるのではなく、クリエイティブな仕事をさせないと、会社が腐る」
超大手建設会社役員の方の言葉です。私も非常に共感する言葉です。
採用も育成も前任がやっていた延長で考えてしまうことも多く、企業にイノベーションを起こせない会社が多いと感じます。l
得てして、ルーティン業務を行っていれば仕事をしているつもりになれます。
しかし、その仕事には「ホワイトカラー」としては価値のない仕事だと考えなければならないと思います。
もし、今の職場で現在固定的な発想、未来視点が抜けた議論をしているのであれば、それは会社を腐らせていると考えて欲しいと思います。
組織人事業務を手がける方には、ぜひ会社の未来を想像し、その会社を創造できる仕事をして欲しいと強く願います。