…1つ前の記事の続きです。









では続きをどうぞ。


















【主演クレジット漏れ事件】
 四十七之巻の放送で、オープニングに主演のヒビキ役である細川 茂樹のクレジットがないというミスが発生した。

 これについて東映では「主演の名前をクレジットし損なうミスの可能性を誰も想定していなかったため、ミスをスルーしてしまった」と公式発表している。

 しかし、「スルー」という表現に対してネット上で批判の声が多数上がり、後日東映側は文を書き換えている。

 ほとんどが手書き入力だった1970年代にはクレジットミスは時々あったが、コンピュータによりスタッフ人事管理とクレジットタイトルが連動出来るようになった現代においては異例であり、主演のクレジット漏れは前例がない。

 さらにその次週の『最終之巻』では持田 ひとみ役の森 絵梨佳のクレジットを誤って森 絵梨香と表示してしまうミスも発生した。

 これらのミスはDVD収録の際に改正されている。



【プロデューサー交代騒動】
 『特徴』の項で述べたように、高寺 成紀をチーフプロデューサーとして始まった『響鬼』だが、テレビシリーズ中盤と並行して製作・公開された劇場版『仮面ライダー響鬼と7人の戦鬼』のチーフプロデューサーは『響鬼』には当初全く関与する予定はなかった白倉 伸一郎が務めた。

 その後、TV版も9月4日放送の三十之巻以降、プロデューサーが白倉に交代。

 脚本もきだ つよし・大石 真司から入れ替わる形で、井上 敏樹・米村 正二が参加している。

 同時に文芸スタッフも全員が降板となる。

 このスタッフ交代を境に、本作にも大きな変化が見られた。

 以下に主なものを挙げる。

  ◆冒頭の明日夢によるナレーションが廃止、従来のアバンタイトルとなる。

  ◆10月以降、インストのOPから歌詞がある新OPに変更。 同時にEDが廃止される。 また、OP、ED(EDのみ一部横書き表示のテロップ)共に縦書きのキャスト・スタッフ表示が、従来の横書きに変更される。

  ◆三十之巻からレギュラーの登場人物として桐矢 京介が加わる。

  ◆通常タイプの童子・姫が三十之巻以降、登場しなくなり、代わりにスーパー童子・スーパー姫が登場。

  ◆火を吹く、鬼爪が飛び出す、鬼の口が開く等の細部の演出が廃止され、描写の簡潔化が進む。 魔化魍も体液が噴き出す、奇怪な口が開く等の描写が軽減。

  ◆鬼の日常(『シフト表』やトレーニング)、明日夢を支える母など、背景の補強にすぎない要素も徹底的にカット。

  ◆それまで大きく予算とスケジュールを割いていたと予想されるCGの魔化魍、山中でのロケ等が大きく減少する。

  ◆明日夢の成長譚よりも鬼と魔化魍の攻防にストーリーの重点が置かれる。


 こうした『路線変更』の是非を巡り、個人ブログはもとより各匿名掲示板やソーシャル・ネットワーキング・サービスなどのインターネットコミュニティ上で激しい議論が起き、多くの意見が殺到した(主に路線変更前/変更後のどちらかを支持する両者により展開された議論(暴言も多く含んだ)は平行線上を辿り続け、同じ『響鬼』という作品を愛する者同士であるにもかかわらず、作品そのものについて冷静に議論を交わすことが困難な状態は、放映終了後も長く続いた)。

 一部サイトでは商品化リクエストサイト『たのみこむ』に高寺、きだ、大石といったプロデューサー交代以前(二十九之巻まで)のスタッフ復帰を求める運動が起きた。

 二十九之巻までを支持する響鬼ファン達の一部による劇場版公式ウェブサイトでの新メインスタッフ・新キャストへの誹謗・中傷や、ブログでのトラックバックを濫用したバッシング行為に出るなどの事態になり、劇場版ブログでは管理人でもある白倉が、他の利用者に迷惑のかからないよう通常の記事とは別に『謎の空エントリ』という記事を作成し、批判をそこへ隔離させたほどだった。

 また吉田 戦車、山本 弘、東 雅夫など『響鬼』ファンを公言する著名人が、主に批判側からネット上でコメントを発し、2005年末、主演のヒビキ役・細川 茂樹が自身のサイトで最終話脚本(井上 敏樹によるもの)に対して「手直しが必要」「話が違う」「これじゃプチ詐欺」などのコメントを出す(細川は前期体制において脚本制作の会議に参加するほど深い関わりを見せており、後期体制では時間が切迫していることにより作品の方向性について口を挟めなかったため、このような確執が生じたのではないかとする見方がある)。

 また、細川はテレビ朝日公式サイトのインタビューで、最終之巻の脚本の一部を現場で変更したことを明かしたほか、2006年1月に行われた『仮面ライダースーパーライブ』で「不完全燃焼です」「あの終わり方はないよな」等と不満の旨を発言した。

 童子・洋館の男役の村田 充も、自身のブログに「許せない。 彼の意思を継いでいきたい」と高寺 成紀降板を嘆いたものともとれるコメントを出している。

 また桐矢 京介役の中村 優一は、ネット上で自分の役まわりや演技が不評なので、イベントや舞台挨拶等でファンに罵倒されるかと心配したが、好意的に迎え入れられたので安堵した、といったエピソードもある。

 一方で、前期メインライターのきだは自身の主宰する劇団『TEAM発砲・B・ZIN』公式サイトの日記において、「劇場版や三十之巻以降の響鬼は前半とテイストが違うと騒がれているようですが、個人的には自分が関わっていた頃に感じていたストレスが解消されていて、響鬼の新しい可能性が広がってよいのではと思いながら見ています」と発言している。

 前期プロデューサーの高寺は自身の作品の脚本に対する厳しいチェックが一部で有名であり、それがきだの「ストレス」という発言につながったのではないか、という意見がある。

 さらに2007年7月5日の日記では「クウガや響鬼に参加した時はプロデューサー色が濃くて自分の色を全く出せずに終わってしまった感がある」とも発言している。

 また熱烈な特撮ファンとして知られる漫画家の島本 和彦は、東映関係者から聞いた話として「ああいう事(製作者の総交代)をしなければ、番組自体が終わっていたかもしれない」と発言した。

 島本はその上で最終回を無事に迎えさせた製作側を評価しており、路線変更後の作風の是非はともかく、交代自体は仕方ないというスタンスで擁護する意見も散見された。

 メインスタッフ交代の原因については現在でも公式な理由は明らかではないが、多数のファンの共通認識をまとめると、おおむね下記の事項に集約される。

  ◆主力玩具商品である『音撃鼓・火炎鼓』をはじめ、『関連玩具』の売り上げがあまりにも低かった。

  ◆劇場版を別のプロデューサーが担当せねばならなかったほどに、TV版の『制作スケジュール管理』に問題があった。

  ◆多量のCG合成や、山中・森中等のロケをしすぎるなどの、『製作予算』の前半への過剰投入。

  ◆内容の大きな路線変更&上記の製作体制の見直しを高寺が拒否した。


 これらはあくまでも類推(なおスケジュールや予算については、高寺は『仮面ライダークウガ』でも同様の問題を引き起こしたとされる)であって明確なソースはなく、番組が終了した現在になってもまだその実態は明らかになっていない(ただし東 雅夫は『響鬼』関係者に話を聞いており、「交代の真相は概ねネットで広まってる憶測通り」とコメントしている)。

 過去に商業的不振などからいわゆる“テコ入れ”が行われた作品はあっても、東映側制作トップのチーフプロデューサーが交代するという事態は極めて異例であり、尋常ではないなんらかの理由があったことは確かと言える。

 番組終了数ヶ月後に高寺が東映を依願退職した点を考慮しても、非常にネガティブな内部事情があったことは予想される。

 また制作スケジュール体制については白倉に交代後、「執筆が早い」と言われる井上が三十八・三十九之巻を除く全ての脚本を書いたこと、監督陣も前半を担当していた諸田 敏や高丸 雅隆が番組を離れ、二十九之巻以前は不参加だった田村 直己、鈴村 展弘が新たに加わった上、通常のローテーションを崩し、約2ヶ月にわたり複数班体制が取られた(“撮り溜め”(完成済の各回を1話以上ストックしておくこと)をあまりしない東映特撮作品では複数班体制を取ることは珍しくないが、今回のように複数の撮影班が長時間の同時撮影体制を敷くケースは異例と言ってもいい(通常は計画的な撮影スケジュールをしっかり事前に立て、1班体制によるローテーション撮影を維持する様に努める))ことなどから、非常に切迫した撮影スケジュール体制であったことがうかがえる(この件が影響しているのか不明だが、白倉が引き続きプロデューサーを勤めた次番組『カブト』の撮影スケジュールは“放送の3週間前クランクアップ死守”を基準としている)。

 なお白倉は、劇場版公開時に開設していたブログ(現在は公開終了)で「ヒビキと明日夢の物語という枠組みは守らせてもらった」と、上層部から本作に対する更なるテコ入れが要求されていたことを示唆する発言をしている。


















…以上です。









これらの出来事を知った時、僕は、



“細川さんは二度とヒビキさんを演じないかもしれない”

と思うようになりました。









現に、今日放送された『響鬼の世界編』に出演しませんでしたが、



せめて、劇場版『仮面ライダーディケイド オールライダー 対 大ショッカー』で復活してほしいと願っています。









こんなに長い記事を最後までお読みくださり、



ありがとうございました。
m(_ _)m